今月初め、2連休をもらい「どこへ行こうか」と思案した私が
やって来たのは・・・

松本市郊外の温泉地・
浅間温泉その歴史は大層古く、大和朝廷に属する貴族の別荘地に始まり、
朝廷編纂の歴史書・日本書記にも登場。鎌倉時代には北条氏、
江戸時代には歴代松本藩主の湯治場が置かれ、
明治以降は文人や宮家といった知識階級が訪れる等、
時の人々に愛され続ける
名湯今も町並みや宿の名に、1300年に及ぶ歴史を感じさせる名残が
留められています。

私が泊まったのは、
帰郷亭ゆもとや明治20(1887)年創業、「帰郷亭」の名の通りに故郷に帰ったような
寛ぎの提供を目指す温泉旅館。

入り口では昭和初期まで店頭に掲げられていたという情緒ある看板と共に、
暖かな光が宿泊客をお出迎え。

和のテイストが織り交ぜられたフロントとロビー。
小さなお土産コーナーは、「温泉街を浴衣を着て散策して欲しい」という、
宿の方のお心遣いが顕れたもの。

ロビー右手には、ゆったりと寛げるラウンジも併設。
宿の方による丁寧な説明とご案内を受け、
エレベーターに乗って4階へ。

こちらが
マイルーム!玄関から入って真っすぐ進んだスペースに、ふかふかソファと
小さなテーブルが置かれています。
ちなみにここ、客室の
一部です
通路左手の扉を開けると、綺麗に磨き上げられた陶器の洗面台。
この右側が客室備え付けの浴室、左側がトイレとなっており、
それぞれ
独立しています
こちらが寝床。
既に布団がセッティングされ、傍に机と椅子、そしてテレビが設置されています。
これらの空間から成る一室は、広々!
心と身体を癒す贅沢な一晩をここで過ごします。

壁際には七福神の一人、中国に実在した僧侶を神格化した
布袋さま各地を放浪し、恵んでもらった食料等を背負った袋に入れていたとか。
傍らには童子を連れています。
棚の下に置かれているのは、なんと
金庫マルチに使える4つの扉と、漆器のような光沢と華やかなデザインに、
ビックリ!

部屋の窓からは、山裾に広がる温泉街や・・・

屋根の向こうから、
常念岳(標高2857m、電線の陰に見える尖った山)
を含めた北アルプスの山並みが見え隠れ。

お風呂の前に、晩御飯。
あらかじめ
松本駅で購入していた駅弁・
櫓膳創業90年、地元の駅弁屋さん・
イイダヤ軒が信州産食材をたっぷり盛り込んで送り出す、
幕の内弁当
オープン!箱の中は4つに仕切られ、鶏肉や鮭等のおかず、野沢菜等の野菜類、
りんごゼリーといった御馳走が並びます。
個人的に気に入ったのは、
トンカツ肉厚な豚肉を濃い味のソースをたっぷり吸い込んだ衣が包む、
食べ応え抜群の一品!

食後はお待ちかねの
温泉!館内には2つの大浴場があり、時間帯による男女交代制。
こちら、1階に在る
湯殿「くつろぎ」は
10時~24時が男性、1時~10時までは女性による利用となります。
内部は2つの内湯と洗い場、1箇所の露天風呂を備えた広々とした造り。
無色透明のお湯に浸かれば、「日常」の2文字が遥か彼方へと
追いやられているよう。
泉質は
アルカリ単純温泉(アルカリ性低張性高温泉)
微かに硫化水素の臭いを帯びています。
効能は
神経痛・筋肉痛・関節痛・五十肩等、広範に及びます。

近くのコンビニへ買い出しに。
夜道を照らす外灯、宿から漏れ出す光、湯治客の賑わい。
常世から隔絶された世界が、そこに在ります。

翌朝は、宿で朝食。
お城の御殿のような構えの玄関から入ると、これまた豪奢広麗なる大広間が
控えています。

こちらが朝食(の一部)。
竹籠には小鉢が配され、それぞれ異なる食材がお出迎え!

小鉢をおいしく頂いていると、仲居さんがお味噌汁と魚の煮付けを
運んできて下さいました。
起き掛けの身体に染み渡る、優しい味付け。

十分に温められた土鍋を開けてみると、ほくほくに仕上がった
湯豆腐が登場!
あっさり目の出汁をしっかり吸い込んだ豆腐は、
柔らかく、香り豊か。

栄養を取り込んだ後は、もう一風呂。
お宿の最上階・6階に設けられた
貸切展望風呂「なごみ」追加料金・予約不要で利用できる貸し切り浴場で、内側から鍵をかければ
邪魔の入ること無い温泉タイムが堪能できます。
もちろんお湯は天然温泉、家族での使用に適した広さの洗い場も
完備されています。

「なごみ」からの眺め。前日は見えた
常念岳(と周囲の山々)は、
残念ながら雲の向こう。
この後時間いっぱいまで温泉とお宿の風情を満喫し、綺麗さっぱり!
次回は温泉街散策。端正なお庭を持つ寺院と温泉街の鎮守の社、
松本の礎を築いた戦国大名の霊所を訪ねます。
それでは!


松本の空には、漆黒の城がよく似合う!