倉吉散策パートⅢ!
前回までは倉吉観光のメイン、打吹玉川地区の
「白壁土蔵群」を巡って参ったわけですが、
今回はそこから徒歩10分ほどの複合施設・
倉吉パークスクエアへ。
文化・芸術の発信地となる音楽ホール・
倉吉未来中心、
図書館と情報交流の場を併設する
倉吉交流プラザ、
男女共同参画社会の実現に向けた普及・啓発、
情報収集、相談対応、活動交流を行う男女共同参画センター・
よりん彩、
その他親子連れの遊び場となる二ヶ所の広場、
飲食店の入る
食彩館等が集まった敷地の一角・・・
鳥取二十世紀梨記念館 なしっこ館が
今回の目的地。
日本有数の梨の産地である鳥取県、その象徴的存在として
「梨」をテーマに据えた
日本唯一のミュージアム。
館内では世界中の「梨」に関する歴史や文化、産業にまつわる
展示が行われている他、新鮮で瑞々しい梨の
試食も可能!
大人も子供も楽しめる展示施設。
開館時間は9:00~17:00、休館日は月ごとの第1、第3、第5月曜日。
丸みを帯びた建物の造りは
梨をイメージしたもの。

入って早々目に入ったのは
樹齢74年、
二十世紀梨の古木。
元々梨栽培家の方の下で果実を実らせていましたが、
持ち主のご厚意により掘り起こされ、ここ
なしっこ館の
シンボルツリーとして来館者を迎え入れています。

縦ではなく横へと大きく広がる枝。
地中では深く根を張っているかと思いきや、
さにあらず梨の木は地上に露出している上半分と対になるかのように
地面の下で横へ横へと根を伸ばしており、木の成長に合わせて
広く根付いているのだとか。

なにやらショーケースの様なものが並ぶ空間は、
世界各地の梨の産地や生産国が生産量に占める割合、
品種としての「梨」が生まれ、伝播して行くルートを示した
パネルが掲示されたコーナー、
梨と世界の人々元々梨は中国で産まれ、シルクロードを通ってヨーロッパへ、
そして近在の日本や韓国といった東アジア諸国へと広まり、
洋梨や日本産の梨へと変化して行ったそうな。
ちなみに
世界一の生産量を誇るのは中国で、
アジア圏で生産される品種をひとまとめにしたアジアナシの
実に
8割を占めているとか。
さすが
梨の母国、スケールが違う。

ズラリと並んだ梨の数々。日本、韓国、中国、西洋・・・
国や地域ごとに多様な品種が有ることが分かります。
どれもおいしそうですが・・・
模型なので食べられません
「梨と世界の人々」の一角には、韓国コーナーが設けられています。
韓国の生活文化や風習に置ける梨の役割を解説。
果物を高く盛り上げた光景は
高盛り(隆盛ではない)といって、
果物を積み上げることによって
還暦を祝う気持ちを表す。
なお種類ごとの置き方には厳格な決まりがあるそうで、
東側にナツメ、柿、リンゴといった
紅い果物、
西側に梨、皮を剥いた栗など白い果物を置くのだとか。

こちらは
ドルの膳という
一歳の誕生祝い膳の上に並ぶのは
某国のお札・・・では無く、
そば、白餅、とうきび、あずき餅、梨を含む果物等、
あちらに於いて長寿と無病、厄除けを象徴する食べ物。
その周囲に米、お金、紙、筆、弓、刀・・・等々
生活用具や食料等を並べて子供に取らせることで、
その子の
将来を占うのだとか。
何を拾うかで一喜一憂する家族の姿が目に浮かぶよう。

続いては
梨のアートギャラリーへ。
こちらのコーナーでは美術や文学という観点から梨との関わりを
取り上げており、梨をテーマにした壁画や和紙人形、
先人が残した梨にまつわる詩や短歌、俳句等を展示しています。

アートギャラリーの中央、ガラスケースに収められているのは
梨にまつわる物語を
和紙人形で表現したもの。
この作品では一人の女性によりウイグル族に梨の木が
もたらされた情景を現しています。

こちらは中国に伝わる梨売りと仙人のお話。

左手の壁面には、梨を詠み込んだ俳句や短歌が。
小林一茶(こばやし いっさ)や与謝蕪村(よさ ぶそん)、
加舎白雄(かや しらお)等、錚々たる顔ぶれが並びます。

こちらは詩人・
三好達治(みよし たつじ)氏作の詩。

館内に唐突に現れる古い農家を思わせる建物は、
二十世紀梨ものがたり劇場鳥取県が梨の一大産地へと成長するまでの
苦難と克服、発展の物語を映像や照明による演出、
梨農家の夫婦をイメージした
ロボットによって
紹介するシアター。
三十分ごとの上映で、所要時間は10分。

こちらが梨農家の
ロボット旦那さんと奥さんの二体が用意されています。
動くのは手元と顔だけですが、映像に合わせて要所要所で
登場し、「思い出話」を語ってくれます。
ここで鳥取県に於ける「二十世紀梨」の歴史を語らせて頂きますと、
鳥取県と「二十世紀梨」の出会いは明治37(1904)年、
北脇永治(きたわき えいじ)氏により苗木が
千葉県より持ち込まれたのが始まり。
明治41(1908)年頃から梨の栽培は本格的な広まりを見せ始めます。
大正の初め頃には
第一次世界大戦による好景気を背景に
梨栽培は急成長・急拡大を果たします。
一方で順風満帆に見えた梨栽培に影を差したのは、カビが
果実や葉を侵食する
黒斑病(こくはんびょう)
この黒斑病が日本各地で猛威を振るったこと、
さらに相次ぐ天災により梨の命運は
風前の灯火に。
しかし官民一体となった研究と対策により危機を乗り切ると、
昭和初期には
日本一の梨の生産地となりました。
その後襲い来た
太平洋戦争により梨農家は斜陽を
迎えますが、戦後の生産量拡大、高度経済成長による
農業従事者の流失を経て、
海外産の安い果実の流入や農園主の高齢化を迎えながらも
新品種の開発を通して、梨作りを次の時代へ繋げんとしています。

2階は子供たちの遊び場、
キッズコーナーや
梨園の中に迷い込んだ気分で遊べる
不思議ガーデン、
梨の栽培法やその秘訣を映像を通して紹介する他、
鳥取県での「二十世紀梨」の歴史を紡いで来た人物たちの
資料や著書を閲覧できる
映像情報学習室、
そして梨栽培に用いられてきた機械や道具を展示する
写真の
資料展示室から成っています。
ちなみに資料展示室に並ぶ道具、「鳥取の二十世紀梨栽培用具」として
国の
登録有形民俗文化財に指定されているそう。

最後は1階に戻って
梨のキッチンギャラリーへ。
ここでは旬の物や鳥取県が開発した技術によって貯蔵された物等、
常時三種類の梨を
試食することが出来る
おいしいコーナー。(待ってました!)
内部には鳥取県で栽培されている梨の品種、日本梨の効能を紹介した
パネルの他、
全国巨大ナシコンテストの
優勝作品が
展示されていたのですが・・・
梨の試食で頭いっぱいの私、
軽くスルー
この日試食に供されていたのは、こちらの三品。
それぞれ形や味が異なっており、個性的!

きっちり三種類とも試食。
個人的には洋梨を思わせる柔らかく「シャリッ」とした食感と、
やや甘みの強い「愛宕(あたご)」が好み、かな?
ちなみに日本ナシ、ただおいしいだけで無く
・肥満解消
・高血圧・脳卒中の予防
・糖尿病・心臓病の予防
・便秘解消
・気管支炎の予防
といった効果があるそう。
摂りすぎにさえ気をつければ、梨を食べることで
健康的に?

梨の果実に始まりお菓子や加工品を販売する
ミュージアムショップで
購入した、
二十世紀梨ジュース果汁100%、甘味の中に微かな酸味の混ざった梨の風味が
たっぷり詰まった逸品でした!
梨を見て、知って、学んで、食べられる学習施設。
ここでは紹介出来なかった施設やコーナーもありますので、
倉吉市を訪ねんという方、本場の味をつまむのも
兼ねて足を運んでみてはいかがでしょうか?
次回は倉吉のお隣・三朝町(みささちょう)へ。
自然治癒力や免疫力を高めるというありがた~い
「天然ラジウム泉」を持つ温泉地・
三朝温泉で湯治三昧!
お湯と温泉街の趣きを味わい尽くします。
それでは!

晩御飯は山陰・鳥取の幸づくし!

お刺身に・・・

地酒の飲み比べセットに・・・

大山地鶏!