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鎮守の総社と神の舞

神話の地・高千穂を巡る旅。
今回は高千穂郷八十八社の総社・高千穂神社と、
その境内で観光客向けに披露される神事・夜神楽(よかぐら)を
取り上げてまいります。
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再び「アクア」に乗り込み、天岩戸神社から移動。
窓の向こうに、豊かな自然が広がります。
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平成17(2005)年に襲来した台風14号で大きな被害を受け、
平成20(2008)年に廃止となった第3セクター・高千穂鉄道の線路跡も
ちらほら。
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車はやがて町の中心部へ。
メインストリートとなる神殿通り(こうどのどおり)の中途に
現れたのは、高千穂神社
冒頭でも述べた通り、高千穂町内各地に点在する神社・
八十八箇所を統べる総社という位置づけに在る、
格式の高いお社。
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祭神は高千穂皇神(たかちほすめがみ)と称される神々、
すなわち天孫・瓊々杵尊(ニニギノミコト)とその妃である
木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)を始めとする三代の神々と
その妃、それに社の創始者である三毛入野命(ミケヌノミコト)等
十柱の神々を祀った十社大明神が合祀されています。

創建はおよそ1900年前、皇統第11代・
垂仁天皇(すいにんてんのう)の折と伝わります。
そのきっかけとなったのは、初代天皇・神武帝の兄・三毛入野命が、
ニニギを始めとする3代の神々をここ高千穂にて祀ったこと。

以来地元住民のみならずその名は遠方にまで轟き、
平安期には日向国第一の宮として最高位の
御神階が与えられた他、
鎌倉時代初期には鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(みなもとの よりとも)が
名代を立てて多数の宝物を当社に納めました。

また元寇、もしくは蒙古襲来として知られる
文永・弘安の役(ぶんえい・こうあんのえき)に際しては、
神仏の力による異国調伏を願う勅使(天皇直々の命を携えた使者)が
派遣される等、武士や朝廷からも篤い信任を受けました。

その歴史と刻まれた信仰の証は、多数の宝物となって今に伝えられています。
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神社の歴史を物語る「お宝」が、本殿を目指す石段の脇に控えています。
参道を守護する鉄製の狛犬(右:阿形、左:吽形)一対は、
源頼朝奉納の品。
その文化的・歴史的価値から、昭和46(1966)年に
国の重要文化財に指定されました。
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高千穂神社本殿
建物は江戸時代の安永7(1778)年の再建
流造(ながれづくり)という、社殿前面の庇を長く伸ばし、
そこから屋根へと繋げる形式で築かれた社殿は、
派手さこそ無いものの重厚にして格調高い構え。

こちらも平成16(2004)年に重要文化財に指定されています。
縁結び・夫婦円満・諸願成就・農産業にご利益の有る神殿に、お参り。
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杉の大木が立ち並ぶ境内でも、一際存在感を放っているのが
こちらの秩父杉(ちちぶすぎ)
源頼朝の代理として高千穂宮に参詣した家臣・
畠山重忠(はたけやま しげただ)が手ずから
植えたと伝わる古木は、重忠が秩父の出であったことからこの名が
付けられました。

遥か高みへと伸びる大木は天然記念物指定を受け、
800余年の時を刻み続けています。

この他写真こそ撮っていないものの、本殿横には2本の杉の幹が
繋がった、通称夫婦杉(めおとすぎ)が存在し、
この周囲を夫婦、恋人、友達同士手を繋いで
周ることで、縁結び、家内安全、子孫繁栄
願いが叶う、と言われています。
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境内もう一つの注目ポイントが、こちらの神楽殿(かぐらでん)
毎年11月中旬から翌年2月に掛けて高千穂町内20ヶ所の集落にて
奉納される神事・高千穂の夜神楽

前回記事でも取り上げた天岩戸神話にて
天鈿女命(アメノウズメノミコト)が披露した舞が
始まりとされており、秋の実りへの感謝と翌年の豊穣を祈る大事な儀礼。

ここ神楽殿では、国の重要無形民俗文化財ともなっている
神聖なる儀式の舞台が再現されており、
毎晩観光客向けに夜神楽の一部が上演されています。
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神楽殿内部。木の香り漂う広大な座敷の奥には、
夜神楽が披露される舞台が整えられています。
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舞台近景。
上部には内注連(うちじめ)と呼ばれる注連縄が架けられ、
その周囲を彫り物(えりもの)という切り絵が飾ります。

この「彫り物」は古代中国の思想・陰陽五行説(いんようごぎょうせつ)に
基づいた「陰陽」の月と太陽、「五行」の木・火・土・金・水を中心に、
十二支や四季の風景、鳥居等がデザインされており、
夜神楽を行う際には神棚の位置を方位関係無く「東」と定め、
それを基点にそれぞれの方位に応じて五行を配置するそうな。
(神楽殿内の説明書きより)

これらによって区切られた範囲は神庭(こうにわ)と呼ばれ、
神事の奉仕者以外立ち入ることが赦されない
神聖な場所。

ここまでで昼の散策は終了。
大分へ戻る父と別れ、この日のホテルにチェックイン。
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夜になりました。
ホテルから神殿通りへと出て、再び高千穂神社を目指します。
道沿いには背の低い灯篭が設けられ、なんだか厳かな雰囲気♪
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裏手から境内へ。松明と街頭に照らされた参道の向こうから、
神楽殿が見えて参りました。
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神楽殿内部には、既に観光客が詰め掛けています。
ここでは「神楽まつり」が開催される11月22日・23日を除く毎日
20時~21時の一時間、夜神楽を楽しむことが出来ます。
(受付は19時より、途中入場も可)
拝観料は700円

演目は三十三番有るうちの四つ
天岩戸神話を表現した「手力雄の舞(たぢからおのまい)」、「鈿女の舞(うずめのまい)」、
「戸取の舞(ととりのまい)」、そして国生みの神々の中睦まじい様子を
表す「御神躰の舞(ごしんたいのまい)」がそれぞれ抜粋の上、
上演されています。
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舞台を眺めてみると、昼間とは異なるものを発見!
後方に飾りを付けた上で置かれているのは、天岩戸を表現した
いわば舞台装置
その内側には天照大神を祀る祭壇が用意されています。

さて、神職の方による説明の後、いよいよ開演!
なお私のカメラは動きに弱いため
見づらい部分も多々有るかと思いますが、何卒ご容赦ください。
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まず入場して来たのは、手力雄命(タヂカラオノミコト)
演目は手力雄の舞(たぢからおのまい)
手力雄命は大力を誇り天岩戸を開くことになる神ですが、
アマテラスがお隠れになられている天岩戸を探し、
辺りの物音に耳を済ませたり、岩戸の位置を探って思案する
様子が表現されています。
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力自慢の男神らしく、その動きは力強く、直線的。
足を踏み込む音も高らかに、神庭上を所狭しと動き回ります。
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続いて現れたのは、天鈿女命(アメノウズメノミコト)
手力雄命が見つけた天岩戸の前で、伝承通りに舞い踊ります。
神話では「面白おかしく舞った」とされていますが、この夜神楽では
女神らしく優雅な動きを表現。

先ほどの「手力雄の舞」とは対照的な、静かにして
円弧を描く軽やかな動きが印象的。
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戸取の舞(ととりのまい)では、再び手力雄命へとバトンタッチ。
いよいよ天岩戸開放へと向かいます。
先にも増してその動きには力強さが加わります。

ここから円舞と天岩戸への拝礼を繰り返し、徐々に岩戸の前へ。
そしてついに・・・
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天岩戸が開かれました!
高々と岩戸を掲げた手力雄は、「えいやっ!」とばかりに
戸を投擲
開け放たれた戸は遥か遠く、長野県まで飛んで行くことでしょう(笑)

ちなみに天岩戸神話に端を発した演目の数々ですが、
当の天照大神は登場しません
その代わりとして、アマテラスを祀った祭壇が
用意されている、という訳。
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無事天岩戸が開かれたところで、演者交代。
最後に上演される御神躰の舞(ごしんたいのまい)は、
日本国土と数多の神々を生み出したとされる「国生みの神」、
男神・伊弉諾神(イザナギ)と女神・伊弉冉(イザナミ)の夫婦神が主役。

まずは飄々とした動きで、イザナギが登場。
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こちらがイザナミ(ぶれてますが)
仲良く現れた二神はまずは酒造り
しかしながら浮気性のイザナギは作業中にも関わらず
観覧席の中に女性の姿を見付けると・・・
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なんとそのまま下りて来てしまいました
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イザナギを追いかけ、イザナミも舞台の下へ。
しばし観客と戯れながらの追いかけっこが繰り広げられます。
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連行されるイザナギの図(笑)
舞台上へと戻った二神は酒造りを再開。
出来上がった酒を飲み、やがて抱擁を交わして夫婦となります。
その仲睦まじさは、夫婦円満を表してひるそう。

で、この演目、最終的にはイザナギが酔いつぶれ
イザナミがその肩を担ぎながら両者退場。
やはり女性は強かった

舞台の構成から役者たちのまとう衣装、演目を盛り上げる音楽、
それに合わせて場面ごとに切り替わる音楽と、
大いに興をそそられた伝統芸能。
ちなみにここで演じられたのはあくまで省略型であるそうで、
「本番」では一つ数十分、これを三十三番夜通しかけて
行うそう。
演じる側も観る側も、大変だ
しかしながらその「本番」、是非一度生で観てみたいもの。

次回は高千穂で利用した宿をご紹介!
落ち着きと静けさに包まれた、ちょいとお高めの観光ホテルに
泊まります。
それでは!
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神殿通り沿いには、所々に夜神楽を表した像が置かれています。
しかし夜闇の中で浮かび上がるその姿は・・・
ちょっと怖い

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。