fc2ブログ

記事一覧

鉄道遺産は、静謐に

一に旅路、二に旅路、三、四が乗り物、五にブログ
そんな心持ちで日々を過ごしております、「西のノリ」です。

宮崎旅ももうすぐ終着点
高千穂を離れる前に立ち寄りたかったのが、かつて
国鉄から第3セクター鉄道へと転換され、地域の足として
活躍しながら平成17(2005)年に発生した
台風14号によって大きな被害を受け、
最終的に平成20(2008)年に廃止へと追い込まれた
高千穂鉄道

今回は風光明媚な車窓風景を持ちながら天災によって
役目を終えることとなった悲運の鉄道の面影を探って、
旧高千穂駅へ向かいます。
IMG_9835.png
高千穂町の中心・三田井地区から少し山手へと上がったところ、
跨線橋の下に目当ての場所が見えてきました。
IMG_9837.png
こちらが旧高千穂駅
神話の地ならでは、神社の社殿をイメージさせる駅舎は
昭和47(1972)年、国鉄高千穂線の駅として開業。
国鉄民営化によってJR九州の所属線となってからは
運行状況の厳しさから廃止を検討されましたが、
沿線自治体が受け皿となって、平成元(1989)年に
第3セクター・高千穂鉄道が誕生しました。

以後は沿線の過疎化や国道218号線のバイパス化等によって
厳しい経営環境に置かれながらも、優れた沿線風景を生かした観光列車の投入や
駅舎、並びにその周辺の整備などの経営努力を続けていましたが、
前述の様に平成17年の台風災害により鉄橋や路盤の流失
駅舎の損傷等の甚大な被害を受け、
運行不可能な状態に。

どうにか「地域の足」を甦らせたい。地元の後押しもあって懸命に
再開の可能性を探った高千穂鉄道ですが、
約26億円という莫大な復旧費用もネックとなり、
復旧を断念
台風災害から3年後、正式に全線の廃止が決まりました。
(tegeyoka.com、テレビ宮崎参照)
IMG_9840.png
現在高千穂駅跡高千穂鉄道記念公園として
一般に開放され、駅舎やホーム、車両基地といった構内を見学出来る他、
観光客向けに当駅~高千穂鉄橋間にてグランド・スーパーカート
運行を行う高千穂あまてらす鉄道
発着場として利用されています。
IMG_9889.png
駅舎内は現在、かつての高千穂鉄道や高千穂あまてらす鉄道のグッズ販売や、
駅構内への入場券、スーパーカートの乗車券を発行する窓口
置かれています。
鉄道好きの私、テンションUP!
IMG_9885.png
ホームへの出入り口上には、時刻表が当時のままに残されています。
終着駅・延岡からの接続列車も掲示した、親切なデザイン。
窓口付近には各駅までの運賃表も現存。
IMG_9842.png
窓口で入場料を支払い、いよいよ駅舎の外へ。
駅舎から出てすぐの場所、駅名標とともに架けられているのは、
記念撮影用の制服と制帽
これを身に着ければ、気分は運転士?
IMG_9841.png
駅構内の一部を改装して設けられたカフェ・ミラコロ
開放的なスペースで高千穂の風を感じながら
ドリンクや軽食が楽しめる場所ですが、残念ながら冬季休業中

店名の「ミラコロ」は、イタリア語で奇跡の意。
かつてここを走った鉄路の記憶を残したい、そんな想いが伝わります。
IMG_9843.png
高千穂駅のホームは両側に線路を通した島式と呼ばれる形式で、
一面二線が確保されています。
ホーム上中央付近が乗り場となっており、駅名標やベンチが残されています。
あまてらす鉄道の方々による努力の甲斐あってか、廃線から十年、
運行休止から十三年の歳月を経ながらも、まるで現役のような
保存状態が維持されています。
IMG_9845.png
ローカル色たっぷり、夜神楽や国見ケ丘の雲海、真名井の滝といった
名所がプリントされた駅名標も、そのまま。
IMG_9844.png
ここから高千穂鉄橋までのおよそ5kmは、今もあまてらす鉄道運行の
「スーパーカート」が走ります。
朽ちた構造物や消灯した信号機を除けば、今にもトンネルの向こうから
単行(1両編成)のディーゼルカーがやって来そう。
IMG_9847.png
ここ高千穂駅には第3セクター転換以後、
小規模ながらも車両基地が置かれていました。
ホームの奥に、2編成分の検修施設(車両の検査・修理を行う拠点)を兼ねた
車庫が残されています。
高千穂らしい、壁面に描かれた夜神楽の天鈿女(アメノウズメ)の
イラストがポイント。

画像ではさらに奥まで線路が伸びているのが確認出来ますが、
これはかつて国鉄時代に高千穂線が高森線(現南阿蘇鉄道高森線)と
繋がる九州横断の路線として計画されていたため。
IMG_9862.png
現在高千穂駅構内には、かつて高千穂鉄道線を駆け抜けた
2両の気動車(ディーゼルカー)が保存されています。

いずれも平成元(1989)年の第3セクター化に伴い投入された車両で、
右がTR‐100形101号車
左がTR‐200形202号車

形式こそ分けられていますが両車とも車体構造やエンジン、足回り等、
基本的な仕様は同一
異なるのは車内設備で、TR‐100形は通勤・通学利用も考慮した
セミクロスシート
TR‐200形はより観光向けの全席クロスシート

高千穂鉄道所属車両にはTR‐300形301号車を除く全車に
愛称が付けられ、TR‐101はしろやま号
TR‐202はうんかい号と命名されていました。

もはや2両とも本線運用は叶わぬ身ですが、左のTR‐202は
予約すれば駅構内限定での運転体験が可能。
(乗りた~い!)
一人につき料金は1万円、所要時間30分
1日10名
普通自動車か自動二輪の免許を持つ20歳以上の方限定、
印鑑・運転免許証持参といった制約は付きますが。
IMG_9857.png
TR‐101は、無料での車内見学が可能!
内部はクロスシートとロングシートを混ぜたセミクロス配置
年号が変わった頃の車両らしく、昭和の香りが混ざりながらも
JR車にも通じる近代的な意匠が特徴。
IMG_9858.png
座席はグレーの入り混じった、カラフルな配色。
やはり共通規格で造られた地方私鉄の車両か、大糸線等で運用される
キハ120形のような造り。
IMG_9856.png
ガラス越しに運転台を覗くことも出来ます。
鉄道車両としては標準的な、マスコン(アクセル)とブレーキの2ハンドル式
IMG_9859.png
天井から吊り下げられた中吊り広告も、当時のまま。
IMG_9884.png
で、車両基地ならではの設備が、検修用に車両の床下に設けられた
スペース!
車両の足回りや床下機器の検査や修理に用いる空間からは、
普段見る機会のないアングルから観察し放題!
いや~、ワクワクしますね
IMG_9872.png
車体の重量を支え、動力を路面へと伝達する台車
IMG_9869.png
同車の心臓部となる直列6気筒、
250馬力を発生するDMF13HSエンジン
IMG_9875.png
その他床下機器が見放題!至福・・・

なおこの床下スペース、直立する高さは無く終始屈みながらの移動となるため、
腰の悪い方は要注意
IMG_9883.png
かつて車両の検査・修理・整備や運用の拠点となったであろう部屋は、
現在展示室として公開されています。
IMG_9877.png
内部には運行に欠かせない各種機器や・・・
IMG_9879.png
TR‐400形「トロッコ神楽号」(現在はJR九州へ譲渡され、
観光特急「海幸山幸」として活躍中)に使用された
ヘッドマークが展示されています。
IMG_9876.png
かつて高千穂へ至る鉄路を駆け抜けた車両たち。
台風災害によって突如として活躍の場を失った彼ら。
ここに居るTR‐101やTR‐202のように保存される車両もあれば、
宿泊施設として活用されるもの、他の鉄道会社へと譲渡されたもの等、
辿った道筋こそ異なるものの、今も全車がその姿を(「海幸山幸」は大改造されましたが)
止めています。
IMG_9861.png
車両基地を出ると、丁度高千穂あまてらす鉄道の運行する
グランド・スーパーカートがホームに入ってきました。
30人乗りの客車を、空港で運用されるトーイング・トラクター(空港内で貨物を牽引する車両)を
改造した動力車が前後から牽引する方式で、
ここ高千穂駅から約5km先、日本一高い105mの高さを誇る
高千穂橋梁までの廃線区間を観光案内を交えつつ走ります。

途中のトンネルでは鮮やかなライトアップが行われ、
高千穂橋梁では橋梁上で停止しての眺望が
楽しめる等、盛りだくさんだそう。
高千穂再訪が叶えば、乗ってみたい。

延岡から高千穂までのおよそ50km、五ヶ瀬川流域や
高千穂の自然風景を楽しめる路線は地域の人に愛され、
観光需要を喚起するきっかけともなりました。

この身で車窓からの眺めを体験し得ぬのが残念ですが、
地元の方から聞いた「(鉄道を)どうしようか、というタイミングで台風が来た」という
話からすると、廃線も致し方なしか・・・
それでもこの目で絶景路線を乗り通してみたかった。
この高千穂駅訪問で改めてそう感じました。
観光専用でもいい、「いつか」がやって来ないものでしょうか・・・

さて、ここまで2泊3日分をこれまた1月以上に渡って
まとめて来た宮崎紀行も、次回で最終回
高千穂バスセンターから延岡までの路線バスからの眺めをお届け!
大峡谷や五ヶ瀬川沿いの眺め、廃線跡の入り混じる、
楽しき車窓風景をお届けします。
それでは!
IMG_9891.png
哀愁の鉄路が、伸びる。

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。