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はじめに
一昨年6月分の記事について、画像の欠落や記事の内容に
そぐわぬ画像が掲載されているといった事態が
確認されたため、閲覧して頂くに値せぬという当方の判断により
該当記事の削除という措置を取らせて頂きました。

該当記事をご覧になった方、拍手を付けて下さった方に
お詫び申し上げるとともに、今後とも当ブログをご愛読のほど
よろしくお願いいたします。

さて、お待たせいたしました。
昨年12月以来、久々の旅紀行でございます。
今回赴きましたるは、福岡県北九州市の端っこ。
かつて国際港として栄え、そこかしこに異国情緒漂う洋風建築の
散りばめられた観光地・門司港(もじこう)

門司港レトロとして知られる海辺の華と、
この度修復工事を経てグランドオープンと相成りました門司港駅を、
2泊3日の行程にて取り上げて参ります。
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大分市内から普通列車と特急ソニックを乗り継いで2時間ほど。
やって来ました・・・
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門司港駅!
開業明治24(1891)年。当初「門司駅」と命名され、本州に最も近い場所に
設けられた九州の玄関口

その後関門トンネル開通に伴う改称と役割の変遷を経ながらも、
今も九州7県を網羅する鉄道の起点として、
風格ある駅舎共々君臨し続けています。

起点駅らしい長大編成にも対応可能な長いホーム、そしてそれを覆う
昔懐かしい造りの屋根は、この駅が刻んできた歴史とこれまで
果たしてきた役目の表れ。

私がここに降り立った3月10日(日)は、平成24(2012)年の仮駅舎への
駅機能の移転以来、8年間に亘って行われてきた駅舎の保存修復工事が
完了し、そのグランドオープンを迎えた記念すべき日。

その完成初日の様子を目に焼き付けたい、そして駅舎修復の落成を
祝って行われるイベントを記録したい!
ということでわざわざこの日を狙って
出て参った訳です。

列車を降りた私、そのイベントを飾る展示物を早速発見!
それがこちら・・・
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8620形58654号機
製造は今から100年近く遡る大正12(1922)年、
日本初の国産量産型蒸気機関車・8620形
一機として生産され、当初は長崎線(現長崎本線)に配置。

その後九州各地を転々としながら貨客両用の機関車として運用されて
いましたが、昭和中期以降の国内各線での電化
無煙化によって活躍の場を失い、
昭和50(1975)年に引退
以後肥薩線矢岳駅(やたけえき)構内にて静態保存
(せいたいほぞん、機械としての操作や保存を前提としない保存方法。
コトバンクより)されることとなりました。
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そんな58654に再びスポットライトが当てられたのは、昭和62(1987)年頃のこと。
国鉄の分割民営化によって誕生したJR九州は、
翌昭和63(1988)年に控えた九州鉄道100周年
熊本デスティネーションキャンペーン
さらにその翌年の門司港開港100周年というイベントに
合わせて蒸気機関車を復活させることを企図しました。

そこで
・九州で多数運用された車種、出来れば九州内で一生を終えた車両であること
・日本の機関車史に刻まれた名車であること
・保存状態が良く、機関車の貸出先の協力が期待できること
という要件を満たした本機が候補として選ばれ
保存・修理の後昭和63(1988)年、熊本~宮地間の「SLあそBOY」、
熊本~人吉間の「SL人吉号」として見事復活を果たしました。

以来九州唯一の現役SLとして高い人気を誇っていた58654ですが、
2000年代に入ってから深刻な問題が発生します。
平成17(2005)年頃に車体に度々トラブルが発生。
大正期の製造から歳月を重ねたことで、台枠(フレーム)に歪みが生じるという、
機械としては致命的な状態に陥っていたのです。

これを受けて同年8月をもってSLあそBOYは運転休止
同機は2度その役目を失います。
しかしJR九州諦めません

修復と運行再開の可能性を探る中でなんと同機の設計図を発見。
これを幸いと前代未聞の台枠の新製を含めた
大規模な補修の末平成21(2009)年、58654は熊本~人吉間の
観光列車・SL人吉の牽引機として
再度の復活を果たしました。
(熊本県観光サイト「なごみ紀行」、ウィキペディアより)

そんな人々の想いと情熱の塊・58654。
普段は熊本方面で春季~秋季に掛け、週末運行の観光列車として人々に愛されている
現役最年長のSLですが、
今回門司港駅グランドオープンを祝う記念事業の一環として、
車両の整備・検査を請け負う小倉総合車両センターを抜け出しての
特別展示

この車両目当ての混乱を防ぐためか、ホームに接することのない中線での
展示となりましたが、九州鉄道史の始まりとも言える
この駅に日本鉄道史の原点たる蒸気機関車がいることは、
ある種奇跡のような光景にも思えます。
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立ち籠める蒸気、「シュー」という音、時折吹き鳴らされる汽笛。
生き物のような脈動が、目の前に存在する興奮。
何とも言えません!
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後方から。
約16mの車体を持つ8620形。その殿を務めるのは炭水車(テンダー)
多量の石炭や水を消費する大型の蒸気機関車では、
走行に必要な資材を積載するための専用車両が連結されています。

8620形を始めSLの代表的存在・D51等の炭水車を備えた機関車は
テンダー式と称され、小型のC11等、機関車本体に
石炭・水を積載可能なタンク式機関車と区別されています。
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運転台下部に取り付けられた、形式名・形式番号を示す銘板
その下には製造年と製造元(日立製作所)が記載されています。
この車両を造った山口県下松(くだまつ)の笠戸工場(現笠戸事業所)は、
今も現役で鉄道車両を生み出し続けています。

左上の「熊」の字は、所属元である熊本車両センターを表す略号
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停車する58654の隣に、これまた普段門司港駅では見られない
列車が入線して来ました。
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これは大手旅行会社・クラブツーリズム主催、
50系客車に乗車・筑豊本線を行く 
門司港発熊本行き 日帰りの旅
というツアー企画による
団体臨時列車

客車には普段「SL人吉」専用車として使われる
国鉄時代製の客車・50系700番台
「SLあそBOY」時代から58654と苦楽を共にする相棒

こちらも国鉄製ディーゼル機関車、JR九州オリジナル塗色の
DE10形に牽引されての運行。
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車体側面に印字された、「SL人吉」の列車名が誇らしげ。
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ホームの反対側に回り、「SL人吉」用客車をじっくりと観察します。
3両編成に組成された車両。その両端には流れゆく景色を堪能出来る
展望ラウンジが設けられています。
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3号車の展望ラウンジには種類の異なる椅子が用意され、
好みのスタイルで車窓を満喫することが可能。
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一般座席は表地こそ交換されているものの、昔情緒漂う対面式の
ボックスシート。
この他車内には飲食物やオリジナルグッズを販売するビュッフェ
書籍が並べられたSL文庫
SLの模型や地元の特産品が並べられたショーケース
設置され、大人も子供も楽しめる空間に
仕上げられている模様。

う~ん、この客車と58654の組み合わせで運用される、
日常のSL人吉に乗ってみたい!
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九州各地を結ぶ鉄道シーン、その原点にして起点となる門司港駅
その象徴とも言えるのが、ホーム頭端に置かれた0哩標(ゼロマイルひょう)

明治24(1891)年、九州鉄道(初代)の延伸により初代門司駅
(現在の門司港駅とは位置が異なる)が開業。
それと同時に起点であることを示す0哩標が設置されました。

その後大正3(1914)年に駅は現在地へと移転
それに合わせて現駅舎が開業しましたが、0哩標は移設されること無く
撤去されてしまい、誇るべきマイルストーンは失われてしまいました。

現在の0哩標は日本鉄道史の始まりから100年後の昭和47(1972)年に、
JR九州の源流となる国鉄九州総局によって
設置し直されたもの。
「0哩標」の揮毫は、元北九州市長・谷伍平(たに ごへい)氏による。
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0哩標の後ろに置かれた8620形28627号(58654と同形式)
蒸気機関車の動輪と、SL時代に広く普及していた
腕木式信号機

28627号機は58654の4年先輩に当たる大正8(1918)年製。
北九州市若松を拠点に室木線(遠賀川~室木間。昭和60(1985)年廃止)、
筑豊線(ちくほうせん)、香月線(中間~香月間。昭和60(1985)年廃止)で
活躍し、引退後の昭和53(1978)年、若松機関区にて解体されました。

今では足となる動輪一対のみが、存在の証として門司港駅ホームに残ります。

さて、ここからはこの日もう一つの特別な列車をご紹介。
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12時過ぎに門司港駅4番ホームに入線して来たのは・・・
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北九州市出身の漫画家・イラストレーター、わたせせいぞう氏が
手掛けたわたせせいぞうラッピングトレイン

門司港駅グランドオープンに合わせ、氏のデザインによって
811系4両1編成(P110編成)にイラストをあしらったラッピングを実施。
この日は門司港~小倉間にて臨時列車として運行され、
その第一便に合わせて門司港駅ではわたせ氏本人出席の下
出発式が行われました。(私は線路を挟んで反対側のホームから
その模様を見届けました)

今後は一般車と共通で鹿児島本線での旅客輸送に
従事するそう。
運行期間はおよそ3ヶ月間が予定されています。
今だけしか見られない、貴重な姿。
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反対側先頭車。
出発式後の12時23分、わたせ氏の合図を受けたラッピングトレインは
小倉駅目指してゆっくり走り去って行きました。

駅構内、駅前を中心に多数のイベントが催行された門司港駅グランドオープン。
次なる100年へ。
歴史と思い出の積み上げられた駅は、新たな時間を紡ぎ始めました。
これからの駅と街の物語に、期待して行きましょう。

次回は門司港駅舎探索!
大正レトロの香りとリニューアルの目新しさ。
古風と革新の入り混じる「九州鉄道の起点」を、
たっぷりとお届けします。
それでは!
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多数の列車が発着する門司港駅構内には、広大な車両基地も併設。
普通車両を中心に、たくさんの車両が見られます!

コメント

こんばんは。

いつものように、なが~く書かれた内容に感心し、驚きます。
そして、いつものように、詳しい記事にお礼を言わなくてはなりません。
「門司港駅」……。
何度か通過しても、下車したことはありません。
この駅にも、長い歴史があるのですね。
8620形58654号機……。
2度目の復活ですか。
その姿に、これを製造し、修復した人たちの「思い」が伝わってきます。
今回も貴重なはなし、ありがとうございました。

No title

yamashiro94さん
コメントありがとうございます。
こちらこそ、いつも記事をご覧いただき、
感謝でございます。

門司港駅は初代「門司駅」開業から百数十年、
駅舎も百年を超える大変価値のある物です。
一度列車を降りてじっくり回ってみるのも、
一興かと思います。

多くの人の想いを乗せて走り続けるSL・・・
一度乗ってみたいものです。

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。