利尻島を目指す行路の完結以後、なかなか天気とお休みのタイミングが合わずに
悶々とした日々を過ごしておりましたが、昨日ようやく双方の条件整い、
来島後初めて(近所の散策除く)「お出掛け」が叶いましたので、
こうして記事としてまとめさせて頂きます。
今回目指しますのは
利尻島北部、海沿いから上がった高台に広がる
人造湖・
姫沼豊かな自然に囲まれた「癒しの水辺」にて、条件が揃うことで成立する
「奇跡の眺め」を目にします!
久々のお休み、そしてお出掛け!「晴れ」予報にも押されて意気揚々と寮を出発した
私を待ち構えていたのは・・・
霧事前に何度も何度~もチェックした天気予報では文句の付けようの無い快晴・・・
だったのですが、風が無く高気圧に覆われた稚内地域ではこの日、
放射冷却により地表付近の空気が冷やされたことで大規模な霧が発生。
そのため海に迫る山間部はもちろんのこと、海を見渡してみても入港間際のフェリーの姿すら
はっきりと視認し難い有り様。
下手するとお出掛けそのものが
ボツと成り兼ねない状況である。

ともあれ折角のお休み。朝から立ち上がったからには目的地にだけでも
辿り着きたい!
幸い到着予定は約1時間後。晴れ間が訪れることを信じ、歩き出す。

空と海の間に、層のように霧が立ち籠めているのが分かります。
境界が曖昧になった
白灰色の世界に、小舟が浮かぶ。

海辺の小さな集落を過ぎゆく。
海岸線には漁業関係の小屋や小舟が並び、この島の産業を支える
漁業の存在感を感じます。

出発からおよそ40分、「
姫沼」へと続く道に突入!
海と山が隣り合うように並立する
利尻島らしく、ここから目的地までは
終始
キツめの上り勾配が続きます。
体力、もしくは足腰に不安あり、という方にはお車での来訪をオススメ致します。

周囲の景観も、あっという間に山間部のそれへと早変わり。
わずか数百mでの急激な変化に驚かされます。

登り坂の途中、開けた場所に設けられた
姫沼展望台
晴れていれば鴛泊(おしどまり)地区やお隣・
礼文島(れぶんとう)、
宗谷地域の中心・稚内やその間に横たわる海原、さらには異国・
ロシアの
サハリンまで見渡せる筈なのですが・・・案の定
何も見えず
次々に現れ、流れ行く霧たち。
「霧中の湖面」を眺めるのも一興か、と思い始めた頃・・・

突如として晴れ間が到来しました!
伸びやかに続く道路、並び立つ針葉樹の向こうに、名峰・
利尻山の姿が!普段目にするそれより近くに1,721mの高みを感じる幸福に、しばし立ち止まる。

不意に現れた「希望」に力を得て進んで行くと、駐車場に出ました。
ここまで来れば目的地はもうすぐ!

この先は「利尻礼文サロベツ国立公園」の一部を成す緑地、
姫沼園地となります。

短い散策路の途上に架かる吊り橋、
想い出橋姫沼を源流として
日本海へと注ぐ
オモベツ沢(橋の名称はこの沢由来か)を越えて行きます。
そしてついに・・・

この日の目的地・
姫沼に到着!大正6(1917)年に付近の小沼と湧水を利用して築かれた
人造湖周囲1kmの湖沼の周囲には豊かな
原生林が広がり、
木々や花々に加えて木立の合間に海鳥、水鳥、草原の鳥、森林の鳥、高山の鳥と
多種多様な
野鳥が生息。
賑やかで美しい歌声と愛らしい姿を見せてくれます。
名称の由来は、開発時に
ヒメマスを放流したことから。
(元気に泳ぎ回る姿も見ることが出来ます)
この
姫沼に一見の価値をもたらしているのが・・・

この光景!
風の無い好天の日に目にすることが出来る、
逆さ富士本家の「逆さ富士」と言えば静岡県、山梨県、神奈川県といった
周辺地域で見ることが出来ますが、ここ
利尻島姫沼で展開されるのは、
「利尻富士」こと
利尻山が澄んだ水面に映りこむ、
逆さ利尻富士山の規模こそ「本家」には及びませんが、その雄大さ、美しさは
勝るとも劣りません!

優美な山の姿に加え、深まる
緑も情景に彩を添えてくれます。
姫沼の畔には、周囲1kmをグルっと一回りする
探勝路が設けられています。
昨年まで身を置いていた長野県は
上高地を想起させる木道を、
自然と触れ合いながら歩けるナイス設備!

探勝路から覗いた湖面。
底に沈んだ石まで見通せるほどの透明度!

野鳥の歌声、風のささやき、木々のざわめき。
自然の奏でる「音」の数々が、絶大なる「癒し」をもたらしてくれます。

探勝路の途中には、こんな場所も。
道を塞いで横たわる倒木ですが、
姫沼探勝路では障害物と成り得る
それすらも散策路の一部として
活用幹の一部を加工して階段として通り抜けを可能にするとともに、
天然木の真ん中を踏み越えるという体験が味わえます。

傍らにはどっしりとした木の根も残されています。

静かな波紋が広がる湖面。
水面を揺らした風は木道にも達し、道行く人の頬を撫でて山へと抜けて行きます。

湖上では「オシドリ夫婦」がお散歩中。
模様と色合いが鮮やかなのがオス、控えめな色で付き添うのがメス。

探勝路の起点、
姫沼の正面に戻って参りました。
坂を下る前に休憩所、
姫沼 休憩舎へ寄り道。
八角形の建物内ではキーホルダーや絵はがきといった定番のお土産品の他、
姫沼周辺に生息する植物や動物を写したもの、
星空や
利尻山といった島を取り巻く大自然の情景を切り取った
写真が展示されています。
なお施設内は
撮影禁止となっており、商品や展示品を撮影した場合、
相応の代金を取られる恐れがあるそうな。
(館内の一角では職員の方が目を光らせています。軽率な振る舞いは慎みましょう)
最初はどうなることか、という状況で始まった散策でしたが、最終的には
天気とタイミングに恵まれ、素晴らしい情景と自然のエネルギーに触れることが出来、
大満足のものとなりました♪
(この後海岸線に下った直後、山は再び霧に包まれてしまいました。
奇跡的なタイミングで晴れてくれたことに、感謝!!)
今度は鴛泊地区でもゆっくり巡ろうか。
次回は・・・未定です(笑)

港とフェリーと、ベシ岬。
参照:天気予報士・伊東譲司の オモシロ天気塾
「姫沼園地」内 説明書き