「内地」では梅雨の足音が近付きつつあることと思いますが、
「梅雨」が無いというここ北海道は
利尻島では、穏やかな天候が続いています。
前回から利尻島「空の玄関口」・
利尻空港を取り上げている訳ですが、
今回はその続き。
離島の小空港に飛来する旅客機の離発着の様子と、
ターミナルビル2階に入居する、「唯一の」飲食店をお届けします。
コンパクトにまとめられた1階部分を探索し、階段を上がって2階へ。
そこに広がっているのは・・・

空港名物、
送迎デッキ!旅立つ、あるいは帰って来た家族や友人の出迎えに、あるいは飛行機の観察や撮影に
欠かせない定番スポット!
これだけなら全国各地で見られる設備なのですが、ここ利尻空港を特徴付けているのが・・・
この眺め!眼前に空港施設のスポット(駐機場)、その奥に滑走路が広がり飛行機の着陸から
乗客の乗降、出発準備の様子まで見られるのはもちろんですが、
ここを優れた場所としているのは、さらに向こうに広がる
利尻山の山稜。
「カメ男」たちにとっては機体だけでなく「機体+山」まで収め得る、
この上ない立地です。
デッキ付近には20倍までズーム可能な
双眼望遠鏡も設置され、
飛行機好きでなくとも「山と飛行機」、双方を楽しめます。

13時50分頃、定刻(13:45)より少し遅れて新千歳空港よりこの日1便目、
全日空(ANA)4929便が到着!
毎年6月~9月、利尻島が観光シーズンを迎える時期に運航される
臨時便機材は米
ボーイング社が半世紀以上に渡って改良しつつ生産を続ける
ベストセラー小型ジェット機・737シリーズの第2世代、
ボーイング737-5001980年代から2000年に掛けて製造・販売され、初期型737からエンジン換装、
客室・コクピットの刷新といった改良が施されています。
現在は後継となるNG(ネクストジェネレーション)シリーズや
最新鋭のMAXシリーズ(度重なる事故で話題となっています)の導入で
世界的に退役が進んでおり、日本国内でも‐500型を保有する
ANA傘下の
ANAウィングスが
国内最後のオペレーター
利尻空港には主要空港で見られる
平行誘導路(その名の通り滑走路と並行に造られ、
離陸機の駐機場から滑走路への移動、着陸機の滑走路からの脱出と
駐機場への移動に使われる)が
ありませんそのため減速して滑走路端へ至った機体はその場で向きを変え、

滑走路上をUターン。
利尻山を背に駐機場へ進入すると

ガイドラインに沿って半円状に向きを変え・・・

ターミナル正面で停止!
エンジンが切られ、降機準備が始まります。

1日1~2機程度しか捌くことの無い利尻空港。
ターミナルビルと機体を繋ぐ搭乗橋(ボーディングブリッジ)が無いため、
乗客たちは
ANA所有の自走式タラップから地上へと降り立ちます。
ようこそ、
利尻島へ!
全日空機の到着を見届けたところで、お昼ごはん。
ターミナルビル2階にて営業中の唯一の飲食店、
喫茶店 RISHIRI(利尻)
メニューはドリンクやホットケーキ、ワッフル、トーストといったデザートメニューの他、
利尻名物・昆布を使った昆布ラーメン(塩ラーメン)、カレーライス、
各種軽食類をラインナップ。
6月10日以降は昆布と並ぶ名産品・
ウニを使った
うに丼(値段は時価次第)が
加わります。
店舗の傍らでは利尻土産や利尻島および周辺地域を取り上げた書籍が販売され、
カウンター近くでは島を訪れた著名人のサイン(詳しく見なかったため誰のものかは分からず)が
見られます。

ここは是非
うに丼を!と思ったのですが、まだウニ漁解禁前だったため
在庫なしなので通常メニューの
五目チャーハンを注文。
コンソメスープとサラダが付いて900円ナリ。
お昼も済ませ、飛行機観察再開。
着いたばかりの737ですが、30分ほどで新千歳へと折り返す
ANA4930便の
運用へと入ります。

利尻を離れる乗客たちの搭乗が完了すると、タラップが離脱。
続いて地上職員の手でランディングギア(降着装置)を固定していた車止めが外されると、
準備完了!

エンジンをスタートし、機体各部のチェックを済ませた737は
自力で移動を開始。

駐機場から滑走路へと入ると向きを変え・・・

加速を開始!

V1(離陸決心速度)を超えた機体は向かい風と揚力を味方に付け、
ふわりと浮き上がると・・・

北東方面へと去って行きました。

15時ころ、この日2便目となる
日本航空(JAL)2885便が
札幌近郊・丘珠空港(おかだまくうこう)より飛来!
(音が静かだったので、不意打ちを食らった 笑)
先ほどの
全日空4929・4930便と異なり、こちらは通年運航される
定期便機材は
JALグループ傘下・
北海道エアシステム(HAC)が保有・運航する
サーブ3401983年に登場した
スウェーデン製の機体で、近距離路線での運用に適した
ターボプロップ機(プロペラ機)
横1+2列の空間に搭乗乗客数33~37人という小さな旅客機で、
北海道エアシステムでは平成10(1998)年の運航開始当初より
札幌都市圏と道内各地や離島を結ぶ路線に運用しています。
いまだ後継機導入の具体的な話は聞かないものの、運用中の機体はいずれも
機齢20年超。
先ほどの737-500同様、この先長くないかも知れない。

機体と航空会社が異なると言っても、到着後の流れは同じ。
滑走路端で反転した機体は

駐機場へと進入し


グルっと回って・・・

所定の位置に停止しました。

「サーブ340」は、設備の整っていない小規模空港での運用を想定した機体。
そのため機体に
タラップが内蔵されており、
引き出されたステップから乗客は地上へと降り立ちます。
JAL機の到着を見てから、空港の外へ。
海の向こうの
礼文島を眺めながら、1時間の帰路に就く。
大小さまざまな機体が頻繁に行き来する大空港とは異なる、
離島の風景。
しかしながら周囲の自然と小空港ならではな光景は、
これまで見慣れて来たそれとは違う、別の魅力に溢れていました。
今回は雲が漂う中での観察となりましたが、
次はより好天下での眺めを楽しみたいものです。
次回は未定・・・
ですが!近々連休を頂けることとなりましたので、久々に北海道本島にでも渡り、
「日本最北端の地」(ああ、なんとロマンに満ちた響きか・・・!)、
宗谷岬にでも
行ってみようか、と思案中です。
果たして私の予定は如何に・・・?
それでは!
利尻山(雲隠れ中)とサーブ340
参照:イカロス出版「航空旅行Vol.29」
FlyTeam(フライチーム)
Wikipedia