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アイヌコタン1~アイヌ民族、その暮らしと知恵~

北海道がまだ「蝦夷地(えぞち)」と呼ばれていた頃、
日本人が本格的な入植を開始する前の時代。
北の天地を思うままに駆け回っていた人々が居たのを、皆さんはご存知でしょうか?
彼らの名は、アイヌ

都市やインフラを築き、高度に社会的な暮らしを送っていた
本州以南の日本人(和人)と一線を画し、漁業や狩猟・採取を糧に
自然とともに生きていた人々。

その根底に流れていたのは、日々の暮らしを与えてくれる自然への感謝
「カント オロワ ヤク サク ノ アランケプシネプカ イサム」、
「すべてのものはこの世に役割を持って存在している」ということわざが表すように、
全ての動物、全ての植物に存在する意義があり、その中で、それらの存在の中で
自分たち人間が生かされている、という考えがありました。

そんな彼らにとって、生活を成り立たせてくれる道具、
栄養分となる動物は
「神の国から人の世に役立てるために送られてくる」ものであり、
自然界の神羅万象をとして崇め、
恵みを与えてくれる大地=神への、祈りと感謝を欠かさなかったと言います。

明治以降政府主導の下、同化政策が採られたアイヌの人々。
日本人(和人)と混ざり行く中で、培われて来た文化や言語そのものが
失われつつある状況ですが、
道内には少数ながら彼らの末裔が住まう「コタン(集落)」が存在しています。

今回は阿寒湖畔に在る「コタン」を訪れ、北の大地に生きた人々の、
その実像に触れて参ります。
アイヌコタン 1
湖畔から一本入ったところに、観光ホテルや土産物店が建ち並ぶ、
阿寒湖温泉街。
アイヌコタン 2

アイヌコタン 3

アイヌコタン 4
土産物屋さんの店頭には、北海道や阿寒地域の自然、
アイヌの伝承をモチーフとした、ユニークな品々が並びます。
そんな温泉街を抜けた先に現れるのが・・・
アイヌコタン 5
アイヌコタン
阿寒湖温泉街の西側に、36戸・120人ほどの人々が暮らす、
道内最大のコタン(集落)。

100mほどの通りに沿って並ぶ民芸品店には、アイヌ文化を今に伝える
民芸品店や料理店が軒を連ね、独特にして精巧な木工品の数々や
アイヌ文様を施した刺繍、アクセサリー等が並び、思い出の一品が選べます!

集落の奥には伝統的な家屋や祭祀場が再現され、その隣に
アイヌの思想や暮らしを学ぶことが出来る、「アイヌ生活記念館 ポンチセ」、
古式舞踊や人形劇、「イオマンテの火まつり」といった
アイヌの伝統芸能を鑑賞できる劇場、「阿寒湖アイヌシアタ―〈イコㇿ〉」が建てられ、
独自に育まれた文化の一端に触れられます。
アイヌコタン 6
コタンの入口直上には、アイヌの人々の間で「神」として崇敬されていた、
シマフクロウの彫像が飾られ、集落と行き交う人々を見守ります。
アイヌコタン 7
集落の中へ入ると、複雑で美しいアイヌ文様で彩られた、建物の数々。
その大部分が、アイヌ伝統の装飾品や木工品を販売するお店。
アイヌコタン 8
建物自体は現代的なものですが、装飾の数々と木材を多用した外装が、
エキゾチックな雰囲気を醸し出しています。
アイヌコタン 8.5
店頭には、色鮮やか、形も様々な木彫品やアクセサリー。
アイヌコタン 9

アイヌコタン 10
集落内には、摩訶不思議な彫刻や装飾品の数々。
アイヌコタン 11
通りの奥に佇む工芸品の展示・体験施設、アイヌ文化伝承館チセ
その正面にも、シマフクロウ。
アイヌコタン 12
折角なので、お昼も「コタン」内で頂いちゃいましょう!
という訳で立ち寄ったのは、喫茶 ポロンノ
集落の入口近くに店を構え、周囲のお店にも引けを取らない
鮮やかなアイヌ文様と装飾が目を引くお店。

提供されるのは、自然豊かな阿寒や北海道の恵みを生かした、
アイヌの伝統料理に「ポロンノ」オリジナル料理。
店名の「ポロンノ」は、アイヌ語で「大きな、広い、たくさん」の意。
店主さんの心遣いが伝わるような、素敵な名前。

営業時間・・・夏季(5月~10月)12:00~21:30(20:30L.О)
         冬季(11月~4月)12:30~21:00(要予約)
定休日・・・不定休。夜のみ店休の場合アリ。
アイヌコタン 13
扉の取っ手には、小さな文様を施したエゾシカの角

入口からいきなり、アイヌ色全開のお出迎え。
アイヌコタン 14

アイヌコタン 15
店内にも、アイヌ文様をあしらった灯具や装飾品、生活道具がいっぱい!
アイヌコタン 16
料理の前に、「ほっ」と温まる飲み物を。
こちらはシケレベ茶という、アイヌ民族の間で飲まれて来たお茶。
その原料となっているのは、ミカン科に属する柑橘類(つまりミカンの仲間)、
キハダ

胃もたれや胃痛、喉の痛みに効能在りという果実を、
アイヌの人々はお茶として、また香辛料としても用いていたそう。
柑橘系の香り漂う液体に口を付けてみると、ほのかな甘みとともに、
薬にも似た苦味が押し寄せます。

「良薬口に苦し」とは、良く言ったもの。
アイヌの人たちが北の大地を元気に駆け回ることが出来たのも、
このお茶のお陰かも知れません。
アイヌコタン 17
メインとなる料理、アイヌの伝統料理を詰め込んだ、
ユㇰ(鹿)セットがやって来ました!
3つの料理を載せて、お値段1,000円。
これに200円追加で、先ほどのシケレベ茶が付いてきます。

それぞれの料理をご紹介しますと、左がアマム
豆・イナキビ・キトビロ(ギョウジャニンニク)を混ぜた、炊き込みご飯
もっちりとした食感、あっさりとした味わいが特徴。

右の料理はオハゥ
昆布と塩のみというシンプルな味付けのお汁で、
季節の山菜やキノコが具材として入れられています。
「ポロンノ」では、ここにエゾシカの肉も投入し、
栄養と風味、さらに「北海道らしさ」もプラスされています。

そんな伝統料理の中で、一風変わった品が・・・
アイヌコタン 18
こちらのメフン
これは鮭一本から一筋しか取れない※血合いを、塩辛にしたもの。

赤黒く、ドロッとした見た目の「メフン」は、
血の溜まる部位だけあって、「金属のような」の匂い。
そして口に入れてみると・・・凄まじい塩気、襲来。
徹底的なまでの塩辛さが、何気なく放り込んだ私の口内を蹂躙!
単独で頂くのは不可能ではないかと思えるほどの、強烈な「味の主張」が
押し寄せます!

メニュー表に「アマムとよく合う」とありましたが、こういうことだったのか・・・
「オススメ」に従いアマム(炊き込みご飯)と一緒に食べてみると、
控えめなアマムの味付けで、「メフン」の塩辛さが中和されて行くのが分かります。
食材の特徴を見極めた、味付けと調理法、そしてそれらの組み合わせ。
アイヌの知恵と工夫が垣間見える品々。

※魚の背身と腹身の間、三枚に下ろした際に身の中央を縦に走る筋。
が溜まり、赤黒く見える部位。
アイヌコタン 19
「オハゥ」の中に入れられた、エゾシカ肉
一見すると牛筋に近く、脂の多そうな見た目ですが、
食べてみると意外とあっさり
自然のままに山野を走り回る故か、余分な脂肪分の無い
締まった味わいでございました。

動植物に秘められた栄養分を知り、大切に頂いていたアイヌの人々。
美味しく、そして滋味に溢れた料理からは、
そんな彼らの心遣いが伝わる心地が致しました。

日本国内に在りながら、どこか「日本離れ」した情緒が味わえる場所・
アイヌコタン。
整然とした佇まいの中に、「蝦夷地」の頃から織り上げられた、
文化や生活の証が感じられました。

次回は「アイヌコタン」の奥、アイヌ伝統の集落が現出した一角へ!
かつての暮らしを偲ばせる家並みから、その生活と信仰に迫ります。
それでは!

参考:阿寒湖アイヌコタン
民芸喫茶ポロンノ ホームページ

コメント

おはようございます。

若い頃、白老のアイヌ集落を訪れたことがあります。
はじめてアイヌの人たちの文化を知りました。
ここで買った土産物は、いまも私の部屋にあります。
ac802tfkさんの写真を見ていると、ここはかなり大きなアイヌ集落のように見えます。
日本列島には、まだまだ私たちが知っておかなければならない文化があるようです。
アイヌの人たちがたどった歴史をはじめ、彼らの文化も私たちは「ちゃんと」知っておくべきだと思います。

こんばんは

コメントありがとうございます。
阿寒湖の「コタン」は、北海道でも最大規模の
ものだそうで、阿寒湖周辺の土地を一部所有する
「前田一歩財団」から、アイヌの人たちへ無償で
提供された土地に、今のコタンが形成されている
そうです。

文字を持たなかったアイヌの歴史や文化には、
まだまだ謎も多い。
それでも長く培われて来た文化であることに
変わりなく、
我々もしっかりアイヌを「知り」、その伝統と暮らしを重んじる姿勢が必要でしょうね。

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。