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横須賀旅2 ~戦闘と生活の場・三笠上甲板~

とうとう2020年も、残りわずか!
あと一週間も満たず2021年がやって参りますが、
次なる年を前に、皆さまいかがお過ごしでしょうか?

世間では以前にも増して新型コロナウイルスがその猛威を振るい、
連日各自治体や全国規模で過去最高の感染者数を記録する中、
年末年始を挟んだ冬休みが到来。
例年以上に「冷え込んだ」年末年始となりそうな
情勢となっています。

私も今日から一足先に冬休みへ入っておりますが、
一層の感染症対策に留意しつつ、
休息の時を過ごしたく思います。
横須賀旅 13
前回より舞台を神奈川県横須賀市へ移し、
日露戦争の功労艦である戦艦三笠に乗艦を果たした私。
続きとなる今回は、同艦にとっての戦闘力の要となる艦砲が並ぶ、
上甲板を取り上げて参ります!
横須賀旅 22
艦尾にて後部30cm連装主砲塔を見物した後は、
さらに艦内へ踏み込むべく、前方へ移動!
戦艦三笠 2-2
その途中で発見したのは、無線電信室

外交努力が実を結ぶこと無くいざ開戦となった時、
勝敗を左右するのは兵器の性能や物量、
戦線を支える輸送路の確保や戦う国そのものの経済力、
日頃の訓練などとなりますが、
もう一つ大きな鍵を握るのが、
水面下で繰り広げられる情報戦

大国との戦いを前にこの「見えざる戦い」に勝利するため、
日本海軍ではいち早く情報網の整備に着手。

1900年にイタリア人発明家、
グリエルモ・マルコニーが発明した無線電信に着目し、
実用化のための研究開発に着手。

海軍技師・木村駿吉(きむら しゅんきち)氏監督の下で
明治36(1903)年に三六式無線電信機
完成され、
急ぎ日露戦争開戦までに全艦艇や陸上の監視所
陸上司令部などにこの新装備が配置され、
艦隊と司令部、監視所⇔艦艇や艦艇同士での、
速やかなる情報伝達と指令の遣り取りが可能となりました。

艦体の要となる三笠にも各所と交信するための
無線電信室が置かれ、
専任の通信士が他艦や司令部等との連絡・伝達を
受け持っていました。
戦艦三笠 2-2.5
こちらが日本の情報戦を支えた三六式無線電信機の、
回路図

明治34(1901)年に実用化された三四式無線機を基に
改良が加えられた機種で、
高電圧の発生源であるインダクションコイルを採用することで、
海軍が目標とした80海里(およそ150km)での
通信が可能となりました。

日本海海戦前にバルチック艦隊出撃の報を受け取った
連合艦隊司令部は、
その動向を探るべく対馬海峡西方海域約70隻もの
哨戒艇(徴用した民間船含む)を配置。

これが5月27日未明の装甲巡洋艦「信濃」による早期の
敵艦見ュの報せとして実り、
結果として艦隊の素早く的確な行動と、
海戦の勝利へと繋がることとなりました。
戦艦三笠 2-3
無線電信室」前には三六式無線電信機複製が置かれ、
通信士になった気分で実際に操作することも出来ます!
(保護具のヒビが気になる・・・)
戦艦三笠 2-4
無線電信室前のにもご注目!
巾の広い床面は、三笠建造の最中、
明治33(1900)年当時のもので、
艦船の床材に適した堅牢強固なチーク材
用いられています。
(ここ以外の大部分は後年張り替えられたのか、
異なる材質の木材が使われています)
戦艦三笠 2-1
いよいよ上甲板の中央部分へとやって来ました!
戦艦三笠 2-1.5
巨大な筒状の構造物・通風ダクトの前に置かれた球体は、
機械水雷

実際に日露戦争中に使用されたもので、
連合艦隊太平洋艦隊旅順艦隊)を
旅順港内に閉じ込めるために行った旅順港閉塞作戦で、
実際に使用されたもの。
戦艦三笠 2-1.75
水雷の反対側には、日本海海戦で被弾した三笠の艦材を用いて
作られた、雪見灯籠が置かれています。

これは海軍拠点の一つである広島県の呉鎮守府から
伊藤博文(いとう ひろぶみ)公へと贈られ、
のちに伊藤家より記念艦三笠へと返還されたもの。

穴が開き、歪められてしまった鉄材が、
戦闘の激しさと被弾の衝撃を物語る。
戦艦三笠 2-5
上甲板に堂々と聳えるマスト

三笠では前後2本のマストが立てられ、
他艦との連絡や司令の伝達に用いる信号旗
掲揚されたり、
夜間航行に欠かせない航海灯
設置場所として利用されていました。
戦艦三笠 2-6
後部マストの直下に飾られた、日本海海戦当日
連合艦隊および戦艦三笠首脳の面々を描いた絵画。
(の複製品)

中央で双眼鏡と軍刀を手にしているのが、
1.東郷平八郎(とうごう へいはちろう)
  連合艦隊司令長官(大将)
それを補佐するように左手に立っているのが、
2.加藤友三郎(かとう ともざぶろう)
  連合艦隊参謀長(少将)
そのさらに左、羅針儀の前に険しい表情で佇むのが、
3.伊地知彦次郎(いちじ ひこじろう)
  戦艦三笠艦長(大佐)
そして東郷長官の右隣で文書
バルチック艦隊撃滅のための作戦書でしょうか?)に
目を通しているのが、
司馬遼太郎先生著・『坂の上の雲』の主人公としてあまりに有名な
4.秋山真之(あきやま さねゆき)作戦参謀(中佐)

本来艦隊行動の成否を握る彼らは、比較的安全な厚さ35cmの鋼板に覆われた
艦橋直下の司令塔
作戦指揮を執るのが常道ですが、
東郷長官は艦からの砲撃に晒されながらも
艦橋から一歩も動かず
戦いの趨勢が決するまで他の艦隊首脳たちと
露天艦橋に立ち続けた、という逸話が残されています。
戦艦三笠 2-7
こちらは艦体片弦に7門ずつ、計14門が配された、
15cm副砲砲室(ほうしつ)

三笠の副砲は最大射程9.1km、
発射速度は毎分6発。
発射速度・威力ともに艦の同等サイズの砲を
上回っていたそう。

砲室内部には艦および艦隊首脳からの命令伝達や
砲員たちの指揮監督に当たる砲室長以下
10名の砲員たちが配置され、
それぞれ
・射手・・・砲の旋回、距離・苗頭(びょうどう。砲が取るべき左右方向の角度)の調定、
      照準と発車を担当
・1番砲手・・・尾栓(びせん。砲の後尾を密閉するための栓)の開閉
・2番砲手・・・弾丸の装填
・3番砲手・・・薬莢の装填
・4番砲手・・・弾丸の運搬
・5番砲手・・・薬莢の運搬
・6~8番砲手・・・弾丸の補充
と役割が振られ、戦時には砲室長号令の下で
戦闘に当たりました。

この砲室では砲戦時の様子が人形と音声によって再現され、
(人数は実際よりも少ないながらも)戦闘の激しさと
緊張感を伝えてくれます。
戦艦三笠 2-8
上甲板中部にずらりと並ぶ、8cm砲

主に駆逐艦や水雷艇といった小型の艦艇に対応するために
設置された補助砲のような存在で、
発射速度は毎分15発
射程距離は副砲を上回る(!)10.7km。

かつては計20門もの8cm砲がずらりと並んでいたそうですが、
現在では左右舷側にそれぞれ4門ずつが残るのみ。
戦艦三笠 2-10
8cm砲に使用された砲弾
主砲同様徹甲榴弾(貫徹力に優れた弾種)と
鍛鋼榴弾(炸裂力に優れる)の2種類が用意されていました。
戦艦三笠 2-9
で、この8cm砲、なんと兵隊気分で
観覧者が動かせるようになっています!
てな訳で私も・・・
戦艦三笠 2-11
距離・仰府角(ぎょうふかく。上下方向の角度)・苗頭良し!
戦艦三笠 2-12
敵艦に向け、撃て(て)-!
戦艦三笠 2-13
・・・はい(笑)
展示物紹介に戻ります。
8cm砲の間に飾られているこちらの円形の物体は、
見ての通り艦を操るための装置・舵輪

8cm砲用の開口部を軽く超える大きさを誇りますが、
本来操艦に用いる舵輪は機械と接続された
艦橋に装備されたものであり、
こちらの舵輪は機械が故障した際、
人力で操作するためのもの。

あるいは複数人で回して、
舵輪に掛かる重量を軽減していたのでしょうか?
戦艦三笠 2-14
こちらは艦内に時刻を知らせるための鐘、
時鐘(じしょう)
戦艦三笠 2-15
上甲板中央部の前方で放映されていた、
三笠紹介DVD


日露戦争開戦前夜の世界情勢から
旅順港閉塞作戦黄海海戦、そして日本海海戦へと至る
経緯と戦況、
そしてCG再現された日本海海戦当日
激闘の模様が分かりやすく解説・紹介されています!
(同様の映像は、第一ビデオ室(個人向け)・
第二ビデオ室(団体向け)でも閲覧可能!)
戦艦三笠 2-16
甲板上に配置された、煙突通風ダクト

三笠では同形艦「敷島」(1番艦)・「初瀬」(3番艦)と異なる
煙突配置となっており、「朝日」(2番艦)と同じ
2本煙突を採用。

この他敷島型戦艦では同形各艦ごとに
・装甲材質(三笠のみ強化型)
・煙突(敷島・初瀬は3本、朝日・三笠は2本)
・副砲の配置(敷島と初瀬は上甲板に6基、中甲板に8基。
朝日と三笠は同4基、同10基)
・船体サイズもそれぞれ異なる
といった細かな差異が存在しています。
戦艦三笠 2-17
上甲板前部の副砲砲室内に吊るされた、
釣床(ハンモック)


三笠では各副砲に10名ずつの人員が配されたのは
後部副砲室で述べた通りですが、
彼らはこの砲室内を仕事場兼生活場所として
割り当てられていました。

砲員長以下10名の配置人員たちは、
ここで砲の整備と手入れから食事、睡眠までを行い、
その睡眠場所として用いられたのが、この釣床。

ロープと帆布で作られた本体部分に麦わら製のマットを敷き詰め、
支給品である3枚の毛布が掛けられたこれらの簡易寝台は、
戦闘時には敵弾の破片から乗員を守る
防護品としての役割も帯びていました。

三笠艦内では、中尉以下830名の乗員が
この釣床で睡眠を摂り、
厳しい訓練や戦闘に備えていたそう。
戦艦三笠 2-18
上甲板中部まで見た後は、
階段の群れを伝って艦の司令塔・
艦橋へと向かいます!

参考:記念艦三笠 公式ホームページ
    さくらのレンタルサーバ
    Wikipedia

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。