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横須賀旅11 ~美術館別館・谷内六郎館~

横須賀市郊外・観音崎に立地し、
前方に東京湾、後方に県立観音崎公園
豊かな自然に囲まれた文化施設・横須賀美術館

前回からこの「想像の園」を回っている訳ですが、
引き続いて美術館本館に併設された分館・
谷内六郎館を回ります!
谷内六郎館 2
こちらが「谷内六郎館」入口。
本館と比べると小規模ではありますが、
こちらも自然光を取り入れたガラス張り。

採光性と清潔感とともに、
本館とのデザイン上の統一感を確保しています。
谷内六郎館 3
館内の様子。
こちらは本館と異なり作品の撮影もOK!
作品鑑賞と合わせて、ここで見たもの、
得られたインスピレーションを、
ファインダーに残して持ち帰ることが出来ます♪

この別館に飾られた全ての絵画を描いた画家・
谷内六郎(たにうち ろくろう)氏は、
大正9(1921)年、東京生まれ。

昭和10(1935)年に駒沢尋常小学校
(現在の小学校相当)を卒業後、
働きながら(!)新聞社や雑誌に漫画・イラストを投稿。

昭和30(1955)年、
「行ってしまった子―大人の絵本・幼き日の夢より―」という
作品群で、第1回文藝春秋漫画賞を受賞。

これがきっかけとなって翌年創刊された週刊新潮
表紙絵を担当することとなり、
谷内氏が亡くなるまでの26年間に遺された作品は
実に1,336点

他にも壁画やろうけつ染め
(模様部分をろうで防染し染色する、伝統的な染色法)、
絵本、さらに福祉活動にまで力を注いでいた同氏は、
昭和50(1975)年に東京から横須賀へと
アトリエを移転
亡くなるまでこの地にて創作活動を続けていました。

ここで展示されている絵画や関連作品
(といってもほんの一部でしょうが)は、
谷内氏と横須賀との地縁から平成10(1998)年に
遺族より寄贈されたもの。

「谷内六郎館」はそんな作品たちを展示するために
建てられた、専用施設となっています。
谷内六郎館 4
こちらが谷内氏の作品。
(タイトルは「蝶はいつでもストロー持参」)

その画風は、絵本のようなタッチで自然の営みや風景、
子どもたちが遊びに興じる姿を描きつつ、
そこからイメージを膨らませて
「別のなにか」へと変貌させる、というもの。

特に多いのが自然の事象や道具を擬人化したり、
枯葉などの自然の物に異なる情景を描く、
という手法で
谷内六郎館 5
例えば枯葉にバレエを踊らせてみたり・・・(「枯葉のバレエ」)
谷内六郎館 6
電車に「夜の子」を乗せてみたり・・・(「始発には夜の子が乗っている」)

クリスマスツリーに化けた高速道路、
軍服を着て「偉そう」に高速道路を闊歩するトラック、
つむじ風を巻いて身を隠す木の葉の忍者、
田舎の郷愁を乗せて舞い飛ぶ枯葉など、
彼にしか出し得ないようなインスピレーションが、
視界いっぱいに広がります!

そんな彼の創作の源となっていたのが、
懐かしい田舎の風景に抱いた郷愁と、
高度に、かつ急速に進む市街地の都市化、
暮らしの変化に対する寂寥感(せきりょうかん)

それを表しているのが、表紙とともに添えられていた
表紙の言葉
谷内六郎館 7
例えばこの「光の涙」では・・・
谷内六郎館 8
退廃的な政治と民衆の生活苦への不安
(まさに今の時代にも繋がる、
「予言」のような言葉!)
谷内六郎館 9
「水面の秋空」では・・・
谷内六郎館 10
都市部の急速な変化への戸惑いと
画一的な景色への息苦しさが、ユーモラスに、
しかし生々しく綴られています。
谷内六郎館 11
館内の一角、ガラスケースに収められているのは、
筆や絵の具といった道具

それから・・・
谷内六郎館 12
「表紙の言葉」の下書き
ややバランスが崩れがちな字が、いかにも「下書き」っぽい。
谷内六郎館 13
こちらには、谷内氏が表紙絵を手掛けていた頃の
週刊新潮
谷内六郎館 14
掲載された家電製品やホテルの広告、
メーカー名(ナショナル、現 パナソニック)などに、
時代を感じる・・・
谷内六郎館 15
そしてこちらは、「表紙の言葉」の直筆原稿
あとは出版社(新潮社)へ送り、校正などを経て
刷ってもらうだけ!という前段階。(かな?)
谷内六郎館 16
「船の子のクリスマス」用の「表紙の言葉」。
(展示室内に実際の作品の展示アリ)

原稿用紙に残された訂正や推敲の痕が、
作品を生み出す際の苦心ぶりを窺わせます。


多くの人はここを見終わってから退出してしまいますが、
実はこの「谷内六郎館」、小規模ながら
もう一つの展示室が存在しているのです!
谷内六郎館 17
その「展示室2」へは一度外へ出て、中庭のような通路を通ります。
そこからは・・・
谷内六郎館 18
再び東京湾の眺め!
本館もそうでしたが、「周囲の景色を見せよう」とする、
設計者(と建設計画推進者)の強い意志を感じます。
谷内六郎館 19
こちらが「展示室2」の入口。
建物と合わせて、なんだか倉庫のような見た目。
(入っていいのか、ちょっと戸惑いました 笑)
谷内六郎館 20
展示室内部。
「展示室1」よりもさらに小じんまりとした空間は、
ほぼ壁面に絵画を飾ってあるのみという、
超シンプルな構成。

じっくり見て回れるのはいいのですが、
監視員さんもいない状況に、
ちょっと心配になる。
谷内六郎館 21
「雪が川から降る」

枯葉を多く取り上げていた「展示室1」の作品に対し・・・
谷内六郎館 22
「初雪は物語めいて降る」

この展示室2は、冬(雪)を題材にした作品が
中心となっているようです。
谷内六郎館 23
その中でももっともインパクトが大きかったのが、
こちらの「山はレースをつけた」

「富山県の屋根」・立山連峰を背にした村へ
幼い兄弟が帰っていく様を描いた作品ですが・・・谷内六郎館 24
なんと山の冠雪をレース生地で表現しているのです!
確かにタイトル通りではあるのですが、
谷内画伯の自由闊達な発想を体現した
作品作りに、ビックリ!


さて、たっぷり芸術に浸った美術館散策も、ここまで♪
敷地外へと出た後は・・・
観音崎 1
東京湾を横目に、観音崎公園へと向かいます!

参考:横須賀美術館 公式ホームページ
              解説パネル

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。