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初詣2021 その2~上古の社・苗村神社~

(今更ながら)お届けしております、2021年初詣!
今年は今現在居住しております、
滋賀県竜王町きっての古社に詣でて参りました!

前回記事では神社へのアクセス口の一つであり、
こちらも昔ながらの集落の姿を留める川守地区を散策しましたが、
今回はその続きから。
苗村神社 1
川守集落を抜け、のどかな田園風景を歩くこと10分あまり。
お隣・綾戸地区に入ったところで見えて参りました・・・
苗村神社 2
式内社 苗村神社(なむらじんじゃ)!

その開創は遥か上古の昔、皇統11代・垂仁天皇(すいにんてんのう)の頃。
社伝によればその頃に蒲生野(がもうの)を開いた開祖、
すなわち那牟羅彦神(なむらひこがみ)と
那牟羅姫神(なむらひめがみ)の二柱
(夫婦神と思われる)を祀ったのが始まりとされています。

その後平安時代の安和2(969)年、
大和国(やまとのくに、現在の奈良県)吉野の
金峯山(きんぷせん)より
国狭槌尊(くにさづちのみこと)を勧請し、
新たに社殿を造営。

これら新旧の宮はそれぞれ社地が明確に分けられており、
同じ社名を持ちながら、
東西二つの社殿が並立することとなりました。

以来近郷三十三ヶ村の総鎮守として、
また諸願成就の社として庶民の他にも皇室や公家、
武家からの崇敬を集め、
寛仁元(1017)年に後一条天皇より苗村神社の名を
賜ったのを始め(それまでは「長寸神社」と称した)、
戦国期の天文5(1536)年には後奈良天皇より正一位の神位を奉授。

天正年間には織田信長(おだ のぶなが)公が
馬具一式太刀七振りを献上しています。

このような由緒からのどかな蒲生野の地に在りながら
その格式は高く、歴史的・文化的価値から
西本殿が国宝指定を受けている他、
五棟の建造物と不動明王立像が国の
重要文化財指定を受けるなど、
蒲生地域きっての古社としての地位を確立しています。

御神徳は「開運招福・家内安全・厄除・産業・
工芸技術・五穀豊穣・子授け・安産・子守りの守護」。
苗村神社 3
社務所が置かれ、
主に参拝客が足を運ぶ「メイン」となる、西本宮

国狭槌尊(くにさづちのみこと)を勧請した際に
造営された宮であり、
いわば「後発」にあたる社地ではありますが、
今ではこちらが苗村神社のとなっています。
(庇を貸して母屋を取られる・・・という訳ではないのでしょうが)

その入口に鎮座する楼門は、
国の重要文化財指定を受けている壮麗な門で、
建立年代は不明であるものの、
建築技法から、室町時代・応永年間(1394~1427)ころの
造営と考えられています。
苗村神社 4
楼門は三間社一戸楼門入母屋造
(さんげんしゃいっころうもんいりもやづくり)という建築様式に
則り建てられ、屋根は茅葺(かやぶき)。

蒲生地域では最大規模の和様建築であり、
上階の扉や連子窓(れんじまど)※は古式を示しながらも、
禅宗様を採り入れた造りとなっています。

連子窓・・・四角の窓枠のなかに、縦あるいは横方向で、
       方形 (あるいは菱形) 断面の棒 (連子子) を
       稜を正面に向けて並べたもの。
苗村神社 5
楼門の右隣に置かれた石碑に刻まれているのは、
苗村神社祭礼の際に掛け声として発せられる、
雲生の掛け声(うんしょうのかけごえ)の文句。

「雲より生ずる恵のを頼みとし、
至る所の原野田の頭溜井戸をつくり、
水を汲み上げ、大きな稲穂に育つ」よう、
惣(村中)が神に詣でて乞い願う雨乞いの文言で、
天与の恵みであるへの感謝の念とともに、
苗村郷に代々伝えられて来た言の葉だそう。

地域の人々と苗村神社の太古の昔よりの関わりと、
自然への想いを表す大切な言葉。
苗村神社 6
楼門を潜ると、お浄めの場・手水舎

手水鉢は昨今の世情を鑑みてが抜かれ、
四囲に巡らされた竹筒がその役目を担っています。
(水量は少なめですが 笑)
苗村神社 7
手水鉢の中、わずかに湧き出るの上には、
アヒル軍団がプカプカ。
(同行した同僚の方は、「某村の村長みたい」と評しておられました 笑)
苗村神社 8
こちらが苗村神社・西本宮の社殿群。

手前の大屋根を戴く建物が、拝殿
その奥に国宝・西本殿
それを取り囲むように摂・末社が並びます。
苗村神社 9
西本宮最奥に並ぶ社殿群。

その中央に鎮座する国宝・西本殿は、
鎌倉時代後期・徳治3(1308)年の築で、
三間社流造(さんげんしゃながれづくり)という、
切妻屋根の前面部分を伸ばして庇と母屋を一体とし、
桁行(正面)の柱間を三間(柱4本)とした
形式に則って建てられています。
(京都の上賀茂神社(賀茂別雷神社)・
下鴨神社(賀茂御祖神社)が代表例)

屋根は楼門同様の檜皮葺(ひわだぶき)。

この西本殿を中心に摂末社が配されているのですが、
このうち誉田別命(ほんだわけのみこと。八幡神)を祀った
八幡神社
天孫・瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)を権現と同一視して
お祀りした十禅師社(じゅうぜんじしゃ)は
重要文化財に指定されています。
苗村神社 10
幣殿前から、本殿に向けて新年のございさつ。
苗村神社 11
ここにも「新年」を感じさせる青竹
飾られています。
苗村神社 23
「初詣」と来れば、一年の吉凶を占うおみくじ!

私の今年のくじ運は・・・○○でした!
(結果はみなさんのご想像にお任せします! 笑)
苗村神社 12
ここからは、西本宮内の文化財たちをご案内。

一見質素なこちらの建物は、
祭礼に用いる神輿を収納するための倉庫・
神輿庫(みこしこ)

建立は戦国時代の天文5(1536)年。
苗村神社が正一位の神位を授かった際、
朝廷の勅使を迎え入れるための
装束召換仮殿
(しょうぞくめしかえかりどの。いわゆる「更衣室」)として建てられ、
のち神輿庫へと転用されたそう。

桁行四間、梁間二間、正面および片側側面の出入り口を除いて
全て板壁とした簡素な造りながら、
類例の少ない建築物として
重要文化財に指定されています。
苗村神社 13
もう一つ西本宮に遺された貴重な文化財が、
本殿と対するように建てられた、
現代的な造りの護摩堂内に収められています。
苗村神社 14
それがこちらの不動明王立像

鎌倉時代初期に造られたと見られる木造の
不動明王像で、像高は96・9cm。

寄木内刳り(よせぎうちぐり)という、
乾燥による亀裂の防止と重量の軽減のため、
内部をくり抜いて空洞にする技法によって造られており、
表面は彫眼・彩色によって装飾と写実的な表現が
試みられています。

明治以前までは神社境内にて
苗村宮庵室(なむらみやあんしつ)と呼ばれる
僧坊が営まれており、
その護摩堂(ごまどう)の本尊として護持されていたのが
この不動明王像であったそう。

神仏習合(しんぶつしゅうごう。神と仏を同一とする宗教思想)の
現れとも言える仏像ですが、
明治の廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)によって
苗村宮庵室もろとも本来の護摩堂は破壊され、
ご本尊であるこの不動明王像のみが、
信仰する地元住民によって保護されたものと思われます。
苗村神社 15
続いては道路を挟んで反対側、
東本宮へと参りましょう!

後年造営された西本宮とは異なり、
こちらは蒲生野開墾の御祖神二柱
(那牟羅彦神・那牟羅姫神)を祀った、創始の社

立派な社殿を擁する西本宮がメインのように扱われる
苗村神社ですが、
元はこちらの東本宮のみ。
土地の神様としては「先輩格」に当たります。
苗村神社 16
長い歴史を物語るように残る、鎮守の森
上古の息吹を感じさせる木立の中を、
真っ直ぐ参道が伸びて行きます。
苗村神社 17
注連縄が巡らされた御神木
幹の太さと樹高の高さ、
天をも衝かんばかりに真っ直ぐに佇立する姿は、
なるほど信仰の「よすが」に相応しい。
苗村神社 18
この東本宮境内で異彩を放っているのが、
各所に見られる盛り土のようなもの。

実はコレ、東苗村古墳群と呼ばれる、
れっきとした古墳群の一つ。

現在東本宮鎮守の森内に八基の円墳
確認されており、
いずれも墳径12m~18m、高さ約2m。
(かつては鎮守の森の外にまで、
このような古墳が点在していたそう)

発掘調査の結果確かに古墳時代に当たる
六世紀後半頃の造成であることが確認されており、
おそらくはこの苗村神社の創始・管理に携わった、
土地の豪族たちが葬られていたのでしょう。
苗村神社 19
中には祠まで建てられた古墳も。
よほどの人物が葬られていたのでしょうか・・・
苗村神社 20
鎮守の森を進んだ先に鎮座する、東本殿

西本殿に対するように構えられた、
苗村神社の「もう一つの」本殿。
(社殿の向きも同じ南向き!)

建立年代は不明ながら
建築様式は室町時代のものを示し、
前庭には室町期の永享4(1432)年の銘が刻まれた灯籠が残る等、
その時代の建立を窺わせます。

江戸中期の正徳4(1714)年には
大半の部材を取り替え、社殿の形式まで変えられるほどの
大修理が行われましたが、
昭和33(1958)年の解体修理の際に、
資料に基づいた復原がなされています。
(丸ごと取り替える豪快かつ大規模な修復方法が、
彦根城の櫓や石垣を思わせる)
苗村神社 21
西本殿とは異なる建築様式で建てられた、東本殿。
その造りは西本宮の「八幡社」と共通する部分が多いそう。
こちらも八幡社同様重要文化財に指定されています。

文化財としての「格」こそ異なりますが、
西本殿同様、心を込めて「ごあいさつ」。
苗村神社 22
参拝を終え、この日はそのまま近江八幡市街へ。
鎮守の森を出れば、一面のどかな田園風景

参考:苗村神社 公式ホームページ
           説明パネル
    コトバンク

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プロフィール

詞-Nori-

Author:詞-Nori-
旅行系ブロガー。
趣味は旅行、町歩き、食べ歩き、
鉄道等々。

目下地元・福岡県に戻り、
次なる行動に向けて準備中。