越前旅42 ~プレミアムトレイン・ひのとり(車両編)~
- 2021/10/24
- 17:46
ついに福井県を離れ、
郷里・福岡県までの長距離移動の途に
就いております、越前旅
(もはや越前は遥か彼方ですが 笑)
ただいま中継地点一つ目、
「中京の都」・名古屋まで
その旅程を辿っているトコロでございます。
そんな名古屋から乗り込むのは、
西日本を代表する大手私鉄。
「近鉄」の愛称で親しまれる、
近畿日本鉄道
今から100年以上を遡る明治43(1910)年に設立され、
大正3(1914)年に上本町(現在の大阪上本町駅)~
奈良(同近鉄奈良駅)間で開業を迎えた
大阪電気軌道を源流に、
戦前~戦後に掛けて行われた系列会社の設立と
吸収・合併を経て大阪・京都・奈良・三重・愛知の
2府3県に標準軌(軌間1,435mm)、
狭軌(1,067mm)合わせて508kmもの
路線延長を誇る、営業距離日本一の私鉄
その路線網にはメインとなる近鉄大阪線・
近鉄名古屋線を中心に
「特急街道」と言えるほどの
特急列車網が整備されており、
大阪と名古屋(近鉄名古屋駅)の2大都市を結ぶ
名阪特急を柱に、
大阪・京都・名古屋の各都市から
三重県伊勢・志摩(しま)地方へ向かう観光路線・
阪伊・名伊・京伊特急、
朝夕の「通勤特急」として運転される
阪奈・京奈特急、
その他主力路線と異なる
狭軌(軌間1,067mm)を採用した
南大阪線・吉野線を専用車両で駆ける
通称吉野特急などなど、
運用・車両ともに実にバリエーションに富んだ
特急列車が運行されています。
そんな「近鉄特急」から今回乗車致しますは・・・

特急ひのとり
関西・中京各都市圏の中枢を結ぶ
「ドル箱」路線である、名阪特急。
その中でも二都市を速達で結び、
名阪間の、否、近鉄そのものの花形と言っても
過言ではない
名阪甲特急(めいはんこうとっきゅう)に、
昨年3月より投入された
期待と自信のニューフェイス

充当車両は、「ひのとり(=名阪甲特急)」専用となる
80000系電車
スピード面では新幹線に、
価格面では高速バスに対抗し得ず、
21000系統「アーバンライナー」を筆頭として
快適性を高めた車内設備をウリに
利用客の取り込みを図って来た、近鉄(名阪特急)。
「アーバンライナー」投入以来32年ぶりとなる
フルモデルチェンジに際し、
くつろぎのアップグレードをコンセプトに
大胆かつ斬新なイメージチェンジを企図。
90年代~2010年代初頭に掛けて
JR東日本と協働で多数の鉄道車両を生み出して来た
GKインダストリアルデザインとの
協力の下、外観は先進性とスピード感を持たせた
先頭車を筆頭に、
深みのあるメタリックレッドを採用。
これにゆったりとした空間や上質なサービスを提供する
気品ある車両のイメージを、
翼を大きく広げて飛翔する赤炎の飛鳥に重ね合わせ、
「ひのとり」と命名されました。
サービス面では編成の「顔」となる両先頭車を
床をかさ上げしたハイデッカー構造とした上で、
名阪特急初となる最上級クラス・
プレミアムカーを
伊勢志摩方面の観光特急・
「しまかぜ」に続いて採用。
(「しまかぜ」は全席プレミアムシート)
この「プレミアムシート」はこれまた
名阪特急初となる本革張り、
そして近鉄特急初となる
バックシェル構造を採用することで、
コンセプトである「くつろぎのアップグレード」を体現。
さらに中間に連結されるレギュラーカーでも
従来車と同じ2+2配列ながら
バックシェル構造を導入することで、
鉄道車両としては日本初となる
全席バックシェルシートを実現し、
文字通り「ワンランク上」のサービスを
提供することに成功しています!

性能面では平成4(1992)年投入の
22000系(ACE)以来の標準となっている、
最高130km/hを維持。
大阪線西青山‐東青山間に掘削された
新青山トンネル(5,652m)の上り区間や
遅れ発生時の回復運転で
高速性能を発揮する他、
同じく大阪線の山岳区間で連続する
33.3‰(パーミル。1000m進むごとに
標高が約33m上がる)の急勾配を
110km/hで走行可能な性能を
有しています。
制御装置には近鉄初のSiC(炭化ケイ素)を
素子としたVVVFインバーター
(可変電圧可変周波数制御。
架線を流れる直流電波を
車体制御に用いる交流電波へと変換する際、
電圧と周波数を任意に制御する方式)を採用することで、
省エネと環境対策に配慮。
また1つのインバーターで制御可能な
2台の主電動機を「一群」としてまとめ、
それらを各電動車に二群ずつ搭載することで、
故障により一群が使用不能となっても
片道での定時運行が可能となる
バックアップ体制が構築されています。
(その場合はただちに車両基地へ回送され、
速やかな修理が行われることでしょう)
この「80000系ひのとり」は
「通常タイプ」の6両編成と
「ラッシュ時対応」の8両編成の2タイプが製造
(車内設備は共通)され、
昨年3月14日に施行されたダイヤ改正より運転を開始。
(8両編成は同年11月より投入)
今年2月にはすべての名阪甲特急が
「ひのとり」で統一された他、
間合い運用で一部の「阪奈特急
(大阪難波~近鉄奈良間)」でも
「ひのとり」車両が使用されています。

14時50分頃、近鉄名古屋駅5番ホームに、
これから乗り込む「ひのとり65列車」、
大阪難波行きが入線して来ました!
スピード感溢れるフォルムと、
煌めくLEDのヘッドライトが、カッコイイ!
(撮りづらいけど 笑)

車体側面には、
飛翔する鳥をイメージした「ひのとり」の
エンブレム。
斬新なスタイルと「一段上を行く」車内サービスを
実現した「80000系 ひのとり」は、
昨年度に公益財団法人日本デザイン振興会が主宰し
優れたデザインの製品や建築などに与えられる賞・
グッドデザイン賞を受賞。
また今年には鉄道友の会より
優れたデザインの鉄道車両
(主に特急車両や新幹線など)に贈られる
ブルーリボン賞も受賞し、
名実ともに日本を代表する鉄道車両の栄誉を
授かることとなりました。
(これにより近鉄は、賞の設立理由である
小田急ロマンスカーを差し置いて、
栄えあるブルーリボン賞の
最多受賞者に輝いています)

それでは、「ひのとり」の車内へとご案内♪
内部へ立ち入り最初に目にするであろう
デッキ部分は、
明るいホワイトとシックなブラックの組み合わせ。
壁面下部、黒部分に施された細やかな文様が、
高級感を演出しています。
乗降扉は近鉄特急で長年採用されて来た
外開き式のプラグドアではなく、
一般的な引き戸を採用。
(近鉄特急初?)
各デッキには防犯カメラも設置され、
セキュリティ面での配慮もなされています。
(乗降扉右上の黒枠内がソレかな?)

プレミアム車両とレギュラー車両の
2・3・5号車(6両編成)と2・3・7号車(8両編成)には
ロッカーも設置。
利用客のニーズに応じ、
交通系ICカードで施錠するタイプと、
一般的なシリンダー錠の2タイプが
併用されています。

各編成の2・5・7(8両編成のみ)号車には、
ベンチスペースも設置。
気分転換や複数人での談話にピッタリな、
自由空間となっています。

ベンチスペース横の壁面にも、
「ひのとり」エンブレム。
立体的なデザインと金の彩色が、
カッコイイ!

洗面台は、
白でまとめられた清潔感あるデザイン。
シンプルな照明が照らす手洗い台は、
左から石けん、手洗い、乾燥機
(新型コロナウイルス感染拡大防止のため
使用停止中)が集約されています。
左側、アクセントカラーで塗られた部分で
口を開けているのは、
無料で提供されるおしぼり
(使用は一人一個まで!)

広々としたデッキスペースで特筆すべき設備がもう一つ!
それがコチラ、
プレミアム車両のみに設置された、
カフェスポット!
両先頭車(1・6or8号車)デッキ部分に
備えられた設備で、
淹れたてのコーヒーが味わえる
コーヒーサーバー(有料)と、
「ひのとり」グッズや菓子類が提供される
自動販売機を併設。
食堂車・・・とまでは行かないものの、
「観光列車」以外で売店のようなサービスに
ありつけるのは、ありがたい!
(設置場所こそプレミアム車両ですが、
レギュラー車両利用者でも
利用可能かと思われます)

さて、今回私が乗車した車両ですが、ズバリ!
この扉の向こう、
階段を上がった先で待ち受ける・・・

最上級クラス・プレミアムカー!
伊勢志摩方面へ向かう観光特急・
「しまかぜ」に続いて設定された、
近鉄一のハイグレード車両。
落ち着いた内装にじゅうたん敷きとされた
高級感溢れる室内には、
一般的な特急車両よりも一列少ない
2+1列で座席を配置。
また「バリアフリー全盛」の中、
レギュラー車両から床面を720mmかさ上げした
ハイデッカー構造とし、
各席に大型窓を設置することで、
上級クラスのみ、ワンランク上の眺望を
実現させているのも特徴です。

ベージュをベースに荷棚周りを木目調とし、
優しい間接照明が照らし出す天井部分。
荷棚は乗客から見えやすいように
ガラス張りとしてありますが、
実はもう一つ「忘れ物防止」のために
とある対策が施されています。
(その詳細については、次回記事にて☆)

客室両端に設置された、
LCD(液晶)表示器
2分割された画面では行先や停車駅、
車内設備、列車運行情報などを表示。
訪日外国人に配慮し、
日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字両対応)・
韓国語の4か国語での案内が
可能となっています。

これまたもったいぶってしまいましたが、
プレミアムシートのご紹介!
従来名阪甲特急で使用されて来た
「アーバンライナー」では、
その上級クラスである「デラックスカー」でも
「レギュラーカー」と同一・1,050mmの
シートピッチ(前後間隔)とされていましたが、
「ひのとり」ではこれを東北・北海道新幹線の
E5系/H5系、
上越・北陸新幹線のE7系/W7系
各新幹線車両に搭載された「鉄道版ファーストクラス」・
グランクラスと同等の
1,300mmにまで拡大!
さらに周囲をFRP(強化プラスチック)素材で覆った
バックシェル構造とすることにより、
周りを気にせず好みのポジションに
リクライニングさせることが可能となっています!
(スゴい!)
座席はすべて本革張りで、
まくら・読書灯・プチテーブル・
レッグレスト(膝置き)を内蔵。
電動アクチュエーターにより
リクライニング角度は最大24度、
レッグレストも含めて全部倒した場合だと
44度にまで幅広い体勢を取ることが
可能となっています。
肘置き部分にはコンセントも内蔵。

後ろから見ると、こんな感じ。
後席に完全に干渉しない
造りとなっているのが分かります。
構造上シートポケットや背面テーブルを
設置することが出来ないため、
バックシェル部分の装備品は
コート掛けのみ。
(ついでにシートピッチが広すぎるので、
フットレスト(足置き)も作れない 笑)

座席右側に設けられた、
プチテーブル。
お弁当を広げるにはさすがに狭い
造りですが、
ドリンク類やスマホ等の小物を置くのに
最適な設備。

背面テーブルの代わりに、
肘掛け内には内蔵式のインアームテーブルが
収納されています。
お弁当を広げるには十分なサイズですが、
PCを置くのはちょっと厳しい・・・か?

左側肘掛け上に置かれた、
コントロールスイッチ。
上から
・読書灯
・リクライニング機構
(角度調節&リセット両備)
・枕(高さ調節)
・シートヒーター(!)
・レッグレスト
と、細やかなニーズに応えた動作が
可能となっています。
(さすがに「しまかぜ」のような
マッサージ機能は装備出来なかった模様)

座席上部、上げ下げ自由な枕と、読書灯。
ここでも「ひのとり」エンブレムが
主張しています。

窓の桟に取り付けられたスイッチを押せば・・・

これまた電動でカーテンの位置を
調節出来ます!

「ひのとり」プレミアム車両の特権の一つが、
運転台越しに見える前面展望!
・・・なのですが、
発券時に号車を間違えてしまった結果、
最後尾(名古屋方)になってしまった・・・(泣)
(おまけに座席を回すことも不可だそうで、
「後面展望」も出来ず・・・泣)

ともあれ始まりました、「ひのとり」の旅!
15時ちょうどに近鉄名古屋駅を出た
「ひのとり65列車」は、
一路「商都」・大阪を目指します!
参考:近畿日本鉄道(近鉄) 公式ホームページ
イカロス出版
「大手私鉄サイドビュー図鑑 03 近鉄特急」
Wikipedia
前回記事
越前旅41 ~北陸特急・しらさぎ その2~
郷里・福岡県までの長距離移動の途に
就いております、越前旅
(もはや越前は遥か彼方ですが 笑)
ただいま中継地点一つ目、
「中京の都」・名古屋まで
その旅程を辿っているトコロでございます。
そんな名古屋から乗り込むのは、
西日本を代表する大手私鉄。
「近鉄」の愛称で親しまれる、
近畿日本鉄道
今から100年以上を遡る明治43(1910)年に設立され、
大正3(1914)年に上本町(現在の大阪上本町駅)~
奈良(同近鉄奈良駅)間で開業を迎えた
大阪電気軌道を源流に、
戦前~戦後に掛けて行われた系列会社の設立と
吸収・合併を経て大阪・京都・奈良・三重・愛知の
2府3県に標準軌(軌間1,435mm)、
狭軌(1,067mm)合わせて508kmもの
路線延長を誇る、営業距離日本一の私鉄
その路線網にはメインとなる近鉄大阪線・
近鉄名古屋線を中心に
「特急街道」と言えるほどの
特急列車網が整備されており、
大阪と名古屋(近鉄名古屋駅)の2大都市を結ぶ
名阪特急を柱に、
大阪・京都・名古屋の各都市から
三重県伊勢・志摩(しま)地方へ向かう観光路線・
阪伊・名伊・京伊特急、
朝夕の「通勤特急」として運転される
阪奈・京奈特急、
その他主力路線と異なる
狭軌(軌間1,067mm)を採用した
南大阪線・吉野線を専用車両で駆ける
通称吉野特急などなど、
運用・車両ともに実にバリエーションに富んだ
特急列車が運行されています。
そんな「近鉄特急」から今回乗車致しますは・・・

特急ひのとり
関西・中京各都市圏の中枢を結ぶ
「ドル箱」路線である、名阪特急。
その中でも二都市を速達で結び、
名阪間の、否、近鉄そのものの花形と言っても
過言ではない
名阪甲特急(めいはんこうとっきゅう)に、
昨年3月より投入された
期待と自信のニューフェイス

充当車両は、「ひのとり(=名阪甲特急)」専用となる
80000系電車
スピード面では新幹線に、
価格面では高速バスに対抗し得ず、
21000系統「アーバンライナー」を筆頭として
快適性を高めた車内設備をウリに
利用客の取り込みを図って来た、近鉄(名阪特急)。
「アーバンライナー」投入以来32年ぶりとなる
フルモデルチェンジに際し、
くつろぎのアップグレードをコンセプトに
大胆かつ斬新なイメージチェンジを企図。
90年代~2010年代初頭に掛けて
JR東日本と協働で多数の鉄道車両を生み出して来た
GKインダストリアルデザインとの
協力の下、外観は先進性とスピード感を持たせた
先頭車を筆頭に、
深みのあるメタリックレッドを採用。
これにゆったりとした空間や上質なサービスを提供する
気品ある車両のイメージを、
翼を大きく広げて飛翔する赤炎の飛鳥に重ね合わせ、
「ひのとり」と命名されました。
サービス面では編成の「顔」となる両先頭車を
床をかさ上げしたハイデッカー構造とした上で、
名阪特急初となる最上級クラス・
プレミアムカーを
伊勢志摩方面の観光特急・
「しまかぜ」に続いて採用。
(「しまかぜ」は全席プレミアムシート)
この「プレミアムシート」はこれまた
名阪特急初となる本革張り、
そして近鉄特急初となる
バックシェル構造を採用することで、
コンセプトである「くつろぎのアップグレード」を体現。
さらに中間に連結されるレギュラーカーでも
従来車と同じ2+2配列ながら
バックシェル構造を導入することで、
鉄道車両としては日本初となる
全席バックシェルシートを実現し、
文字通り「ワンランク上」のサービスを
提供することに成功しています!

性能面では平成4(1992)年投入の
22000系(ACE)以来の標準となっている、
最高130km/hを維持。
大阪線西青山‐東青山間に掘削された
新青山トンネル(5,652m)の上り区間や
遅れ発生時の回復運転で
高速性能を発揮する他、
同じく大阪線の山岳区間で連続する
33.3‰(パーミル。1000m進むごとに
標高が約33m上がる)の急勾配を
110km/hで走行可能な性能を
有しています。
制御装置には近鉄初のSiC(炭化ケイ素)を
素子としたVVVFインバーター
(可変電圧可変周波数制御。
架線を流れる直流電波を
車体制御に用いる交流電波へと変換する際、
電圧と周波数を任意に制御する方式)を採用することで、
省エネと環境対策に配慮。
また1つのインバーターで制御可能な
2台の主電動機を「一群」としてまとめ、
それらを各電動車に二群ずつ搭載することで、
故障により一群が使用不能となっても
片道での定時運行が可能となる
バックアップ体制が構築されています。
(その場合はただちに車両基地へ回送され、
速やかな修理が行われることでしょう)
この「80000系ひのとり」は
「通常タイプ」の6両編成と
「ラッシュ時対応」の8両編成の2タイプが製造
(車内設備は共通)され、
昨年3月14日に施行されたダイヤ改正より運転を開始。
(8両編成は同年11月より投入)
今年2月にはすべての名阪甲特急が
「ひのとり」で統一された他、
間合い運用で一部の「阪奈特急
(大阪難波~近鉄奈良間)」でも
「ひのとり」車両が使用されています。

14時50分頃、近鉄名古屋駅5番ホームに、
これから乗り込む「ひのとり65列車」、
大阪難波行きが入線して来ました!
スピード感溢れるフォルムと、
煌めくLEDのヘッドライトが、カッコイイ!
(撮りづらいけど 笑)

車体側面には、
飛翔する鳥をイメージした「ひのとり」の
エンブレム。
斬新なスタイルと「一段上を行く」車内サービスを
実現した「80000系 ひのとり」は、
昨年度に公益財団法人日本デザイン振興会が主宰し
優れたデザインの製品や建築などに与えられる賞・
グッドデザイン賞を受賞。
また今年には鉄道友の会より
優れたデザインの鉄道車両
(主に特急車両や新幹線など)に贈られる
ブルーリボン賞も受賞し、
名実ともに日本を代表する鉄道車両の栄誉を
授かることとなりました。
(これにより近鉄は、
小田急ロマンスカーを差し置いて、
栄えあるブルーリボン賞の
最多受賞者に輝いています)

それでは、「ひのとり」の車内へとご案内♪
内部へ立ち入り最初に目にするであろう
デッキ部分は、
明るいホワイトとシックなブラックの組み合わせ。
壁面下部、黒部分に施された細やかな文様が、
高級感を演出しています。
乗降扉は近鉄特急で長年採用されて来た
外開き式のプラグドアではなく、
一般的な引き戸を採用。
(近鉄特急初?)
各デッキには防犯カメラも設置され、
セキュリティ面での配慮もなされています。
(乗降扉右上の黒枠内がソレかな?)

プレミアム車両とレギュラー車両の
2・3・5号車(6両編成)と2・3・7号車(8両編成)には
ロッカーも設置。
利用客のニーズに応じ、
交通系ICカードで施錠するタイプと、
一般的なシリンダー錠の2タイプが
併用されています。

各編成の2・5・7(8両編成のみ)号車には、
ベンチスペースも設置。
気分転換や複数人での談話にピッタリな、
自由空間となっています。

ベンチスペース横の壁面にも、
「ひのとり」エンブレム。
立体的なデザインと金の彩色が、
カッコイイ!

洗面台は、
白でまとめられた清潔感あるデザイン。
シンプルな照明が照らす手洗い台は、
左から石けん、手洗い、乾燥機
(新型コロナウイルス感染拡大防止のため
使用停止中)が集約されています。
左側、アクセントカラーで塗られた部分で
口を開けているのは、
無料で提供されるおしぼり
(使用は一人一個まで!)

広々としたデッキスペースで特筆すべき設備がもう一つ!
それがコチラ、
プレミアム車両のみに設置された、
カフェスポット!
両先頭車(1・6or8号車)デッキ部分に
備えられた設備で、
淹れたてのコーヒーが味わえる
コーヒーサーバー(有料)と、
「ひのとり」グッズや菓子類が提供される
自動販売機を併設。
食堂車・・・とまでは行かないものの、
「観光列車」以外で売店のようなサービスに
ありつけるのは、ありがたい!
(設置場所こそプレミアム車両ですが、
レギュラー車両利用者でも
利用可能かと思われます)

さて、今回私が乗車した車両ですが、ズバリ!
この扉の向こう、
階段を上がった先で待ち受ける・・・

最上級クラス・プレミアムカー!
伊勢志摩方面へ向かう観光特急・
「しまかぜ」に続いて設定された、
近鉄一のハイグレード車両。
落ち着いた内装にじゅうたん敷きとされた
高級感溢れる室内には、
一般的な特急車両よりも一列少ない
2+1列で座席を配置。
また「バリアフリー全盛」の中、
レギュラー車両から床面を720mmかさ上げした
ハイデッカー構造とし、
各席に大型窓を設置することで、
上級クラスのみ、ワンランク上の眺望を
実現させているのも特徴です。

ベージュをベースに荷棚周りを木目調とし、
優しい間接照明が照らし出す天井部分。
荷棚は乗客から見えやすいように
ガラス張りとしてありますが、
実はもう一つ「忘れ物防止」のために
とある対策が施されています。
(その詳細については、次回記事にて☆)

客室両端に設置された、
LCD(液晶)表示器
2分割された画面では行先や停車駅、
車内設備、列車運行情報などを表示。
訪日外国人に配慮し、
日本語・英語・中国語(簡体字・繁体字両対応)・
韓国語の4か国語での案内が
可能となっています。

これまたもったいぶってしまいましたが、
プレミアムシートのご紹介!
従来名阪甲特急で使用されて来た
「アーバンライナー」では、
その上級クラスである「デラックスカー」でも
「レギュラーカー」と同一・1,050mmの
シートピッチ(前後間隔)とされていましたが、
「ひのとり」ではこれを東北・北海道新幹線の
E5系/H5系、
上越・北陸新幹線のE7系/W7系
各新幹線車両に搭載された「鉄道版ファーストクラス」・
グランクラスと同等の
1,300mmにまで拡大!
さらに周囲をFRP(強化プラスチック)素材で覆った
バックシェル構造とすることにより、
周りを気にせず好みのポジションに
リクライニングさせることが可能となっています!
(スゴい!)
座席はすべて本革張りで、
まくら・読書灯・プチテーブル・
レッグレスト(膝置き)を内蔵。
電動アクチュエーターにより
リクライニング角度は最大24度、
レッグレストも含めて全部倒した場合だと
44度にまで幅広い体勢を取ることが
可能となっています。
肘置き部分にはコンセントも内蔵。

後ろから見ると、こんな感じ。
後席に完全に干渉しない
造りとなっているのが分かります。
構造上シートポケットや背面テーブルを
設置することが出来ないため、
バックシェル部分の装備品は
コート掛けのみ。
(ついでにシートピッチが広すぎるので、
フットレスト(足置き)も作れない 笑)

座席右側に設けられた、
プチテーブル。
お弁当を広げるにはさすがに狭い
造りですが、
ドリンク類やスマホ等の小物を置くのに
最適な設備。

背面テーブルの代わりに、
肘掛け内には内蔵式のインアームテーブルが
収納されています。
お弁当を広げるには十分なサイズですが、
PCを置くのはちょっと厳しい・・・か?

左側肘掛け上に置かれた、
コントロールスイッチ。
上から
・読書灯
・リクライニング機構
(角度調節&リセット両備)
・枕(高さ調節)
・シートヒーター(!)
・レッグレスト
と、細やかなニーズに応えた動作が
可能となっています。
(さすがに「しまかぜ」のような
マッサージ機能は装備出来なかった模様)

座席上部、上げ下げ自由な枕と、読書灯。
ここでも「ひのとり」エンブレムが
主張しています。

窓の桟に取り付けられたスイッチを押せば・・・

これまた電動でカーテンの位置を
調節出来ます!

「ひのとり」プレミアム車両の特権の一つが、
運転台越しに見える前面展望!
・・・なのですが、
発券時に号車を間違えてしまった結果、
最後尾(名古屋方)になってしまった・・・(泣)
(おまけに座席を回すことも不可だそうで、
「後面展望」も出来ず・・・泣)

ともあれ始まりました、「ひのとり」の旅!
15時ちょうどに近鉄名古屋駅を出た
「ひのとり65列車」は、
一路「商都」・大阪を目指します!
参考:近畿日本鉄道(近鉄) 公式ホームページ
イカロス出版
「大手私鉄サイドビュー図鑑 03 近鉄特急」
Wikipedia
前回記事
越前旅41 ~北陸特急・しらさぎ その2~