アートな日
- 2018/01/11
- 18:17
はじめに
昨年末、および今年初頭の記事で、天皇陛下のご退位を
今年中と記しましたが、
正しくは来年の誤りでした。
この場で情報を発信する者として謝罪と訂正をさせていただくと共に、
どうか向後とも、当ブログを生暖かく見守って頂ければと
思います。
大変失礼しました!
さて、本題。
私「西のノリ」、地元での用事を済ませ、大分へ戻って参りました。
今回は大分市内街歩き。
美術館で開催中の特別展を見物!

駅から徒歩15分、市内随一の繁華街・都町の
至近に在る、大分県立美術館(愛称OPAM)
大分県と縁故のある芸術家の作品を主に扱う
美術館(4月記事にも登場)。
内外に渡り特色の有るデザインは、2015年度の
JIA日本建築大賞に選ばれています。
(JIA=公益社団法人日本建築家協会)

現在OPAMでは、2つの特別展を開催中。
まずは1つめ、日本のアーティストたちの人間離れした
技に焦点を当てた、神の手●ニッポン展
開催は今月28日(日)まで。

久々のご対面、3階展示室前に設けられた、
空を切り取った中庭、その名も天庭
前回訪問した際にはあいにくの空模様でしたが、
昨日は好天!
並べられたオブジェと青空を収めることが出来ました!
(両方をバランス良く写すのが、難しい~)
なお、展示室内は日本の博物館・美術館では当たり前の事ですが、
撮影禁止(ただし一部は除く)
当記事では、撮影可能な作品のみ掲載いたしますので、
ご容赦を。

まずはペーパーアーティスト、太田隆司(おおた たかし)氏の
作品、「草むらのシンフォニー」。
一つ一つの作品にストーリーを孕んだペーパークラフトは、
紙とは思えない質感と現実感、そして懐かしさを持って、
見る者の心を揺さぶります。
そんな太田氏の作品に必ずと言っていいほど登場するのが、犬と車
人の営みに自然と溶け込む様は、心の癒しとして、
あるいは生活の足として欠かせない物としての存在感を
浮き立たせているよう。

続いてはジオラマアーティスト・山田卓司(やまだ たくじ)氏の
作品「プラモデルの日」をご紹介。
かつて人気テレビ番組としてお茶の間を賑わせたTVチャンピオンの
プラモデル部門において、3連覇を含む5度の優勝を誇る同氏が
撮影可能エリアに置いたのは、幼少期よりプラモデルに心奪われたという
作者自身の原風景を切り取ったかのような一幕。
この作品に限らず、モデリングに真摯に向き合う姿勢が伝わる
作品群を見ていると、まるで映画やドラマの中の日常風景を
画面の向こうから眺めているような心持ちに。

お次はミニチュアハウスアーティスト・島木英文氏の
作品「きじや」。
モデルとなったのは山口県柳井市の商店ですが・・・
なんだこのクオリティ
誰もが子供の頃に親しんだであろう、ドールハウス。
の筈なのですが、もはやそのレベルを超越しています

近づいて見ると、外はもちろんのこと、店内の商品や家財道具・商売道具、
果ては店の向こう側に設けられた中庭まで、一切の手抜き無く
造り込まれています。
そのクオリティを支えるのは、遠近法の匠と称される
スゴ技。奥へ行くに連れて床面が高く、そして横幅が狭くなるように
構成されており、それに合わせて内部の物体も調整されています。

この美しい作品は、ビーズアーティスト・金谷美帆(かなや みほ)氏の
手による「フィボナッチのバラ」。
表面を覆っているのは、布では無くすべてビーズ
これ一つに費やされたビーズの数、実に約27万粒
ここまで来ると、もはや恐ろしい。
中でも圧巻だったのが、総ビーズ織りの和衣装「秋来」。
能楽師・辰巳満次郎(たつみ まんじろう)氏が
惚れ込み、長い能楽の歴史でも初となる「ガラスを用いた舞台衣装」の実現に
踏み切らせた一品は、用いたビーズの総数165万粒、
総重量13キロ、製作期間3年という、
途方も無いもの。
秋をテーマにした着物には、紅葉や季節の花が散りばめられ、
筆舌に尽くしがたい美しさ。

最後に紹介するのは、墨絵アーティスト・西元祐貴(にしもと ゆうき)氏作、
「天駆嵐」(あまくらん)。
絵の土台となっているのは、紙ではなく陶器
これは陶墨画(とうぼくが)という手法で、
特殊なインクと製法で、墨絵を陶板に焼き付ける、というもの。
このような手法は、非常にまれな物だとか。
その技も去ることながら、何より目を奪われるのが、
竜や鎧武者がキャンバスから飛び出して来そうな、迫力と躍動感。
しかし作品へのアプローチは一つでは無く、女性画では柔らかなタッチと線で
明瞭な違いが描き出されています。

特別展に沸くOPAMは、展示室の外にも仕掛けが。
入り口傍のアトリウムにどーんと立っているのは、
大分県出身・加藤亮 氏と児玉順平 氏により結成された美術ユニット・
オレクトロニカの作品。
大分市内の文化施設・アートプラザとのタイアップとして、
「脱!人形」をテーマに製作されました。
その題材に恥じず、人形離れした写実性ですが、
近づいてみると、なんかきもちわるい(すみません、
一応褒め言葉ということで)。そしてデカい。
例えるなら皮膚の付いた巨大な人体模型を
見上げるような気分。

続いてもう一つの特別展へ。
日本人の父とアメリカ人の母を生みの親とし、彫刻や舞台美術、
家具のデザイン、陶芸、果ては庭園設計まで、
驚くほど多彩な才能を発揮した、イサム・ノグチ氏を
テーマとした展示。
なお、内部はやはり一部を除いて撮影禁止
展示室には年代ごと、あるいはジャンルごとの作品群が
並べられ、装飾を省き、人の線を描く事に重きを置いた絵画に始まり、
人体をイメージしながらも、強烈なオリジナリティと想像力を感じさせる
舞台装置の数々、人のモチーフを離れ、やがて古代の文明や
長い歳月を重ねた石材との対話から生み出された彫刻等、
「巨人」とでも言うべき才能が感じられます。
残念ながら彼が手掛けた建築や庭園は「実物」を
持ち込めないため映像や模型での紹介と
なっていますが、そのどれもが日本では昭和時代に
世に送り出されたとは思えない鮮やかさで、
拝観者の五感を刺激してくれます。

わずか3点のみ撮影を赦された作品の一つ、ミラージュ
スウェーデン産の花崗岩を用いた彫刻作品で、
1960年代、ノグチ氏が香川県牟礼町(むれちょう)に製作拠点を置いていた頃の
作。
この頃の作風は大地を意識して地面に密着、あるいは平行したもの
だったそうで、下部が床に横たわるようなこの作品からも、
その思想が伝わって来ます。
全面を磨き上げるのでは無く、あえて上部にノミによる彫り跡が
残されているのが、面白い。

一通り見終わってから、一休み。
これまた美術品が取り囲むロビーで、
ティータイム。
以前来館した時とは異なる展示の数々に、大いにイマジネーションを
刺激されたひと時。
じっくり作品に向き合った時、日常では感じられない
感覚が、われわれを待ち受けていることでしょう。
皆さんもふと思い立った時、美術館に
足を運んで見てはいかがでしょう。
あっ、と驚くような出会いが有るかも
知れませんよ?
「アートな一日」は、まだ続きます。
次回は市街地に埋もれがちな史跡の、
「今だけ」見られる精一杯の輝きをお届けします。
それでは!

タイトル「歪む世界」、なんちゃって(笑)
昨年末、および今年初頭の記事で、天皇陛下のご退位を
今年中と記しましたが、
正しくは来年の誤りでした。
この場で情報を発信する者として謝罪と訂正をさせていただくと共に、
どうか向後とも、当ブログを生暖かく見守って頂ければと
思います。
大変失礼しました!
さて、本題。
私「西のノリ」、地元での用事を済ませ、大分へ戻って参りました。
今回は大分市内街歩き。
美術館で開催中の特別展を見物!

駅から徒歩15分、市内随一の繁華街・都町の
至近に在る、大分県立美術館(愛称OPAM)
大分県と縁故のある芸術家の作品を主に扱う
美術館(4月記事にも登場)。
内外に渡り特色の有るデザインは、2015年度の
JIA日本建築大賞に選ばれています。
(JIA=公益社団法人日本建築家協会)

現在OPAMでは、2つの特別展を開催中。
まずは1つめ、日本のアーティストたちの人間離れした
技に焦点を当てた、神の手●ニッポン展
開催は今月28日(日)まで。

久々のご対面、3階展示室前に設けられた、
空を切り取った中庭、その名も天庭
前回訪問した際にはあいにくの空模様でしたが、
昨日は好天!
並べられたオブジェと青空を収めることが出来ました!
(両方をバランス良く写すのが、難しい~)
なお、展示室内は日本の博物館・美術館では当たり前の事ですが、
撮影禁止(ただし一部は除く)
当記事では、撮影可能な作品のみ掲載いたしますので、
ご容赦を。

まずはペーパーアーティスト、太田隆司(おおた たかし)氏の
作品、「草むらのシンフォニー」。
一つ一つの作品にストーリーを孕んだペーパークラフトは、
紙とは思えない質感と現実感、そして懐かしさを持って、
見る者の心を揺さぶります。
そんな太田氏の作品に必ずと言っていいほど登場するのが、犬と車
人の営みに自然と溶け込む様は、心の癒しとして、
あるいは生活の足として欠かせない物としての存在感を
浮き立たせているよう。

続いてはジオラマアーティスト・山田卓司(やまだ たくじ)氏の
作品「プラモデルの日」をご紹介。
かつて人気テレビ番組としてお茶の間を賑わせたTVチャンピオンの
プラモデル部門において、3連覇を含む5度の優勝を誇る同氏が
撮影可能エリアに置いたのは、幼少期よりプラモデルに心奪われたという
作者自身の原風景を切り取ったかのような一幕。
この作品に限らず、モデリングに真摯に向き合う姿勢が伝わる
作品群を見ていると、まるで映画やドラマの中の日常風景を
画面の向こうから眺めているような心持ちに。

お次はミニチュアハウスアーティスト・島木英文氏の
作品「きじや」。
モデルとなったのは山口県柳井市の商店ですが・・・
なんだこのクオリティ
誰もが子供の頃に親しんだであろう、ドールハウス。
の筈なのですが、もはやそのレベルを超越しています

近づいて見ると、外はもちろんのこと、店内の商品や家財道具・商売道具、
果ては店の向こう側に設けられた中庭まで、一切の手抜き無く
造り込まれています。
そのクオリティを支えるのは、遠近法の匠と称される
スゴ技。奥へ行くに連れて床面が高く、そして横幅が狭くなるように
構成されており、それに合わせて内部の物体も調整されています。

この美しい作品は、ビーズアーティスト・金谷美帆(かなや みほ)氏の
手による「フィボナッチのバラ」。
表面を覆っているのは、布では無くすべてビーズ
これ一つに費やされたビーズの数、実に約27万粒
ここまで来ると、もはや恐ろしい。
中でも圧巻だったのが、総ビーズ織りの和衣装「秋来」。
能楽師・辰巳満次郎(たつみ まんじろう)氏が
惚れ込み、長い能楽の歴史でも初となる「ガラスを用いた舞台衣装」の実現に
踏み切らせた一品は、用いたビーズの総数165万粒、
総重量13キロ、製作期間3年という、
途方も無いもの。
秋をテーマにした着物には、紅葉や季節の花が散りばめられ、
筆舌に尽くしがたい美しさ。

最後に紹介するのは、墨絵アーティスト・西元祐貴(にしもと ゆうき)氏作、
「天駆嵐」(あまくらん)。
絵の土台となっているのは、紙ではなく陶器
これは陶墨画(とうぼくが)という手法で、
特殊なインクと製法で、墨絵を陶板に焼き付ける、というもの。
このような手法は、非常にまれな物だとか。
その技も去ることながら、何より目を奪われるのが、
竜や鎧武者がキャンバスから飛び出して来そうな、迫力と躍動感。
しかし作品へのアプローチは一つでは無く、女性画では柔らかなタッチと線で
明瞭な違いが描き出されています。

特別展に沸くOPAMは、展示室の外にも仕掛けが。
入り口傍のアトリウムにどーんと立っているのは、
大分県出身・加藤亮 氏と児玉順平 氏により結成された美術ユニット・
オレクトロニカの作品。
大分市内の文化施設・アートプラザとのタイアップとして、
「脱!人形」をテーマに製作されました。
その題材に恥じず、人形離れした写実性ですが、
近づいてみると、なんかきもちわるい(すみません、
一応褒め言葉ということで)。そしてデカい。
例えるなら皮膚の付いた巨大な人体模型を
見上げるような気分。

続いてもう一つの特別展へ。
日本人の父とアメリカ人の母を生みの親とし、彫刻や舞台美術、
家具のデザイン、陶芸、果ては庭園設計まで、
驚くほど多彩な才能を発揮した、イサム・ノグチ氏を
テーマとした展示。
なお、内部はやはり一部を除いて撮影禁止
展示室には年代ごと、あるいはジャンルごとの作品群が
並べられ、装飾を省き、人の線を描く事に重きを置いた絵画に始まり、
人体をイメージしながらも、強烈なオリジナリティと想像力を感じさせる
舞台装置の数々、人のモチーフを離れ、やがて古代の文明や
長い歳月を重ねた石材との対話から生み出された彫刻等、
「巨人」とでも言うべき才能が感じられます。
残念ながら彼が手掛けた建築や庭園は「実物」を
持ち込めないため映像や模型での紹介と
なっていますが、そのどれもが日本では昭和時代に
世に送り出されたとは思えない鮮やかさで、
拝観者の五感を刺激してくれます。

わずか3点のみ撮影を赦された作品の一つ、ミラージュ
スウェーデン産の花崗岩を用いた彫刻作品で、
1960年代、ノグチ氏が香川県牟礼町(むれちょう)に製作拠点を置いていた頃の
作。
この頃の作風は大地を意識して地面に密着、あるいは平行したもの
だったそうで、下部が床に横たわるようなこの作品からも、
その思想が伝わって来ます。
全面を磨き上げるのでは無く、あえて上部にノミによる彫り跡が
残されているのが、面白い。

一通り見終わってから、一休み。
これまた美術品が取り囲むロビーで、
ティータイム。
以前来館した時とは異なる展示の数々に、大いにイマジネーションを
刺激されたひと時。
じっくり作品に向き合った時、日常では感じられない
感覚が、われわれを待ち受けていることでしょう。
皆さんもふと思い立った時、美術館に
足を運んで見てはいかがでしょう。
あっ、と驚くような出会いが有るかも
知れませんよ?
「アートな一日」は、まだ続きます。
次回は市街地に埋もれがちな史跡の、
「今だけ」見られる精一杯の輝きをお届けします。
それでは!

タイトル「歪む世界」、なんちゃって(笑)